写真投稿を前提としたクリエイティブによる話題化
場所の特性を考慮した、SNS投稿前提のクリエイティブであった点が話題化した2つ目の理由だと考えています。
今回、Tinderが実施した広告は「渋谷駅前」「駅構内」「駅外れのストリート」と大きく3ヵ所に分けられます。
たとえば、駅構内に掲出された渋谷プレミアムセットは、各私鉄~JR、スクランブルスクエア等の商業施設へ向かう導線上にあるB0(1,030mm×1,456mm)40枚換算の大型広告です。

人の流れが途切れることがなく、単純な接触人数で見れば渋谷エリアでも一等地。ただ接触数は確保できる反面、周辺には柱が数多くあり、空間自体に広さがないため、SNS用にクリエイティブ全体を1枚絵で撮影するには不利な立地でもあります。
今回の駅広告では、「効き目いろいろ tinder」と描かれたクリエイティブ2枚に、コピーが異なる8枚のクリエイティブが並ぶ形が採用されています。面を10分割し、写真に納まりやすいサイズ感のクリエイティブを複数面展開していました。

これゆえ特徴的だったのが、各個人が気に入った思い思いのコピーの前で撮影した写真が多く投稿されていた点です。
渋谷駅のTinder広告見てきたよ!
— きゃれ らしさを羽ばたかせる (@kyareblog) September 14, 2021
個人的お気に入り?というかまさに自分がティンダー使ってた理由だったやつを写真撮ってきた◎
今の彼氏と出会えたのはティンダーのおかげなので…「意外と婚活、真剣交際」は実現可能なことをお伝えしておきます…✌️ pic.twitter.com/G8VqOZPnv5
Tinderの東横線渋谷駅地下広告、恋愛の薬事法引っかかって欲しい pic.twitter.com/rduMTHojBC
— ともや/おこ (@tomoyaaaaa33) September 13, 2021
制作を担当したCAMOUFLAGE inc.の石山氏によれば、8種のコピーはすべて「恋愛」「友達」「推し」といったように、それぞれ角度の異なるカテゴリーから選定。コピー検討段階で話が膨らまなかったものについては、ストーリーが内包されていない分、掲載しても何も感じてもらえないだろうと外しているとのこと。

コピーごとに1枚のクリエイティブにすることで、自分にとって何かを感じるコピーの前で写真が撮影できる環境を整えたこと。そして、SNSに投稿しても収まりの良いクリエイティブにしたことが効いたと考えています。
他の広告についても、大型ビジョンで放映された広告は、写真でとらえるのが難しい動画ではなく静止画を採用。15秒間しっかり映すことで撮影しやすい状況を作っていました。

渋谷駅から少し離れたストリートで実施された広告では、カラー豊かなデザインのポスターを交互に並べる形で掲載。1枚1枚で見ても、遠目から見ても、つい写真に収めたくなるような“映え”を演出し、SNSへ投稿を促していました。
