※本記事は、2021年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』71号に掲載したものです。
パーパス・ブランディングを実行するIPCSEモデル
エスエムオー株式会社 CEO 齊藤三希子(さいとう・みきこ)氏
電通に入社後、電通総研への出向を経て、2005年に齊藤三希子事務所(後にエスエム オーに社名変更)を設立。「本物を未来に伝えていく」をパーパスとして掲げ、ものの本質的な価値を見据えたパーパス・ブランディングを日本でいち早く取り入れる。フューチャー・インサイトとクリエイティブを融合させた、強く美しいブランドをつくるためのコンサルティングを行なっている。そのために、世界中を旅し、あらゆる人と触 れ、見たことのないものを追い求める。
エスエムオーが考えるパーパスとは、「企業やブランドがなぜ、何のために存在するか」を言葉で表現したものです。パーパス・ブランディングでは、パーパスを起点にあらゆる経営判断を行い、行動していきます。パーパスを組織の内外に浸透させ、戦略と実行をもって組織の一体感を高め、ステークホルダーとのつながりを作る。そして、社会に対して唯一無二の存在感を発揮していく。この繰り返しの営みが、パーパス・ブランディングなのです。
そこでエスエムオーでは、一貫性をもってパーパス・ブランディングを実行するためのフレームワーク「IPCSE(アイピーシーエスイー)モデル」を考えました。「IPCSE」は、Input/Purpose/Concept/Strategy/Executionという5つのプロセスの頭文字からきています。このモデルの特徴は、「なぜやるか?」から考えるところです。一般的なブランディングあるいは事業活動でありがちなのは、「何をやるか?」から考えてしまうケース。「新しいことを始めよう」「新規事業をやろう」となったとき、多くの企業は「サステナブルな商品を作ろう」「Z世代向けのサービスはどうだろう?」などと、「何をやるか?」にフォーカスする傾向があります。アイデアはもちろん大切ですが、「何を」だけに囚われてしまうと、企業らしさや独特の強みが見えづらく、さらに振り返りが難しいものです。私たちは、「なぜやるのか?」に立ち戻って行うべきだと考え、IPCSEモデルを発信しています。