パーパスを浸透させるキーパーソン
パーパスを策定する上で、メンバー選定は重要です。まず、社長やCEO、会長といった最終決裁権を持つ方の参加は不可欠です。しかし、「流行しているから」「パーパスがあると良さそうだから」といったスタンスでは、やる意味がまったくないと言えます。経営層がパーパスを信じて実践しなければ、パーパス・ブランディングは成り立ちません。
続いて、プロジェクトメンバーです。私たちがご支援するクライアントは、経営層や役員クラスと次世代リーダーの若手社員がチームを組み、パーパスプロジェクトを進めるケースが増えてきました。次世代リーダーは、指名もあれば立候補もあるようです。おもしろいのは、経営層と次世代リーダーとの間で意見や認識に違いが出てくること。決して悪いことではなく、その違いをどう埋め、解釈し合うかが、その後のパーパスの浸透へつながります。さらに、プロジェクトメンバーにアサインされなくとも、パーパスに関心が高く、会社や社会をより良くすることに情熱を持つ人は、エバンジェリストのようにパーパスを広めていくキーパーソンになります。逆説的ですが、そんなキーパーソンを生み、巻き込んでいく吸引力の強さも、良いパーパスの条件の1つです。
ここまで、IPCSEモデルを通してパーパス・ブランディングを解説してきました。パーパス・ブランディングには終わりがありません。自社だけで抱えず、第三者による新しい視点を取り込み、パーパスの浸透度合いや、ひとりよがりとなっていないかなどチェックするフローも取り入れてみてください。
パーパス・ブランディングは、企業の情熱、志、思いがなければ成し遂げられず、簡単なことではありません。しかし、時代が大きく変わっていく中で、「自分たち企業の役割」「存在理由」が何なのか、改めて考え直す本当に良いきっかけだと考えています。これからの時代、企業が世の中に対して何ができるのかを考え、実行することは、ビジネスの成長へ確実につながります。私は、パーパスを起点とした企業やブランドが増えていけば、少しずつでもより良い世の中へ進めると信じています。一緒に、頑張っていきましょう。