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特集:きれいごとで終わらせないパーパス・ブランディング

パーパス大流行の背景 過渡期を迎えた今、企業に求められる条件

「らしさ」を具体化することができるか否か

――消費で終わらせないために、パーパスをどう考えたらよいと思われますか?

 注意しておきたいのは、パーパスは「ブランドのOS」であって、「ブランドを規定するための用語」ではないということです。パーパスを決めることの本質は、ブランドのOS自体をアップデートする作業である。このように考えられると、パーパス策定の成功確率は上がります。

 ありがたいことに、この1〜2年、パーパス策定/浸透/具体化に関する依頼をたくさんいただいています。一番避けないといけないのは、決めただけで満足してしまうことです。時間がかかっても、何か形にしていかないといけない。人事制度や採用制度を刷新したケースもあれば、新規事業を立ち上げたケースもあります。いずれにせよ、「競合であるA社がパーパスを掲げているからうちも掲げねば」というケースは、失敗しがちです。

 パーパスは、それ自体を決めたからと言って、何かが変わるわけではありません。パーパスを決めてから、生活者やインナー(社内)、ステークホルダーにどう浸透させていくかに取り組むことに本質があります。「掲げて終わり」という論調にならなければ、マーケティングにおけるパーパスの価値は認められていくのではないかと思います。

――企業のパーパスに対するマインドの変化はどう捉えられていますか。

 コロナ禍がパーパスを多くのブランドに自分ごと化させる最後の一撃になった印象があります。「不要不急」「エッセンシャル消費」といった考え方が急激に浸透したことで、多くのブランドが自分たちが存在している意義を考え直すきっかけになりました。また、「ニューノーマル」というキーワードの流行から、何らかの変化をしていく必要性も実感したのだと思います。

 未曽有の事態に直面して足元が揺らぐ中、結局、我々自身もブランドも「自分たちらしさ」を見つめないといけない、という本質的なところに回帰したのではないでしょうか。

 これまで、マーケティングやブランディングのバズワードは「最新の手段」に関するものが多い印象でした。一方、パーパスは、「ブランドの思想を内発的に確立し直そう」という狙いです。つまり、目線は外(トレンド)ではなく、内(自分たち自身)に向くわけです。だから、このコロナ禍という状況において、ある種救世主のようなピースとして、パーパスがハマったのではないかと思います。

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パーパスは「SAY」だけでなく「DO」が大事

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/25 07:30 https://markezine.jp/article/detail/37782

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