疑う姿勢を持ちユーザーの建前を崩す
MZ:お話しいただいた課題を踏まえ、マッチングサービスのアプリマーケターにはどのような資質が求められると思われますか。
髙橋:ユーザーの「本音」と「建前」を読み解く力です。たとえば、ユーザーテストを実施して「友達が欲しいからマッチングアプリをやっている」という意見を得られたとします。その意見を鵜呑みにして「友達が作りやすいプロダクトを作ろう」ではダメだと思うんです。「友達が欲しい」はあくまで建前であり、本音は「恋人が欲しい」かもしれませんよね。
髙橋:今はソーシャルで色々な声を拾えますが、本音が言いにくい時代でもあると思います。ユーザーの本質的なニーズを掴む力と、そのニーズに刺さるコミュニケーションを設計する力がマーケターに求められているのではないでしょうか。その2つが備わっていれば、極論あとはアウトソースできると思います。
米原:本音を引き出すためには疑う姿勢が大切ですよね。疑う姿勢は業務全体にも必要だと感じています。たとえば、過去に成果があったからと同じアロケーションで広告を回し続けていると「1年かけて数パーセントの改善しか達成していない」という事態が起こり得るんです。アロケーションを大幅に変えて獲得数を2~3倍に増やせる場合は往々にしてあるので、過去の成功も失敗も疑った方が良いと思います。
またアプリはIDFAの使用制限など、OS側の都合で手法の変更を迫られることがあります。月単位ではなく年単位で施策や計画を立てられる大局的な視点も必要ですね。
活躍の場は無限!若くて偏見のないマーケターは強い
MZ:お2人はLiftoff Mobileが運営するアプリマーケターのためのコミュニティ「Mobile Heroes」に参加されていると伺いました。コミュニティの活動に寄せる期待をお聞かせください。
米原:これまでなかなか機会がなかった違う業界のアプリマーケターとの交流を楽しみにしています。他社の悩みを聞きながら、自社との共通項や将来的に起こり得る課題の発見につなげたいです。
髙橋:私は自分から積極的にコミュニティへ飛び込むタイプではなかったので、Mobile Heroesからのお声がけはすごく貴重な機会だと捉えています。興味のあるトピックがあれば、ぜひ参加したいですね。
MZ:ネクストキャリアとしてアプリマーケターを志す人や、駆け出しのマーケターに向けてメッセージをお願いします。
髙橋:CMOという肩書きを持つ私ですら、どういう職種なのかを明確に定義できないほどマーケターの業務領域は多岐に亘っています。そのぶん活躍の場が無限にあり、自分の“色”を出せる仕事でもあると言えるのではないでしょうか。
弊社ではそれぞれが得意分野を活かし、業界ナンバーワンを目指して日々熱量高く取り組んでいます。常に門戸を開いているので「熱量を持て余していて何かを成し遂げたい」と思う方にはぜひ仲間になってもらいたいです。
米原:過去の正解が今の正解とは言えない不確実な世界において「若くて偏見のない人」が1番強いはずです。たとえ根拠がなくても積極的に提案して、仮に失敗したとしても「この方法はCPAが悪かったから改善方法を考えました」と言えば誰も怒らないと思います。トライアンドエラーを恐れずに挑戦して欲しいですね。