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MarkeZine Day 2025 Retail

米国最新事情レポート『BICP MAD MAN Report』

デリバリー業界の自転車操業は、新しい業態への予兆

「リテール」事業の価値は「物品の宅配」の、向こう側

 「デリバリー」や「宅配」事業のP/Lの黒字化を急ぐことも重要だが、同時に成長ステップでは『B/S視点での事業の「飴玉」』を意識したい。筆者は、繰り返し「医療・金融・保険・教育」の4分野のサービスの枠組みと繋がる可能性を示唆している。たとえば、「医療」領域とは、「医師免許」が必要な処方箋や手術の分野を指す。

 Woltジャパンが見せた施策として、イオン九州やツルハと提携し、店頭医薬品(うがい薬や目薬、風邪薬など)のデリバリー・サービスを開始した努力は賞賛する(参考記事)。ただし、これらは宅配品目に汎用品を加えたに過ぎない。これらの商品は「大衆薬(OTC薬)」の名のとおり、棚から誰でもとれる不特定な多数向けであり、個人への処方をともなう「医療分野」とは別物と考える。

 デリバリー事業体は、単なる「物品の宅配」を「スケール化」できて、初めてトントンの収益となる「ほぼ、社会インフラ」のようなパイプ事業になっている。即座の採算を取る目的でないパイプ・インフラを敷設したその上で、「お任せしたい」「頼りたい」の信用繋がりでの会話を想定してみたい。

※1 EBITDA:財務分析上の利益概念のひとつ。税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却などを足し戻した利益。
※2 Foodpandaを買収したDelivery Heroのグローバル全体のEBITDA調整後での額。数字はすべて1ドル=110円で換算。
※3 EBITDA調整後での赤字額。「Uber Eats部門」の赤字決算は、2020年の全社での純損失(約7,470億円)から利払い、減価償却、ストックオプションなど約4,240億円を足し戻したEBITDAを使用し、さらに本社販管費の2,300億円を加味していないという立ち位置だ。
※4 EBITDA調整後での額。

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榮枝 洋文(サカエダ ヒロフミ)

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表
英WPPグループ傘下にて日本の広告会社の中国・香港、そして米国法人CFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。海外経営マネジメントをベースにしたコンサルテーションを行う。日本広告業協会(JAAA)会報誌コラムニスト。著書に『広告ビジネス次の10年』(翔泳社)。ニューヨーク最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2022/03/01 09:30 https://markezine.jp/article/detail/38395

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