「未出荷品」と「返品」、2パターンの廃棄問題にどう対応するか
コストの面ではもちろん、サステナビリティ実現の観点においても無視することができない「在庫廃棄問題」だが、メーカーはこうした問題にどう対応すれば良いのか。服部氏によれば、廃棄される商品のパターンは大きく2つに分かれ、リアコネのソリューションもその2ルートを想定しているという。
1.未出荷品をクローズドなBtoBマーケットで販売する「リアコネBOX」
1つ目は、メーカーの倉庫から一度も日の目を見ぬまま廃棄工場に運ばれる、きれいな状態の未出荷品だ。その滞留在庫をリアコネが買い取り、それを別の顧客(法人)に売る「リアコネBOX」を展開。2022年3月末に正式にリリースした。

「誰もが使用する日用品なので、価格を下げれば一般消費者の方に買っていただけやすいのですが、それでは次の商品が売れなくなったり、ブランド毀損につながるので価格は下げられない。結果どうしようもなくなってしまいます。そこで一般の消費者ではなく法人の顧客に、閉じられたBtoBマーケットで買っていただける機会を作ることを考えました。
法人のターゲットは、多量に消費財を使用する必要があり、最新機能である必要性が低く、なるべくコストカットになるほうが好ましい規模感のある企業です。たとえばガソリンスタンドやスポーツチームなど、自らタオルを洗濯用洗剤で洗うような特定の事業者様などに販売する、といったように、マーケットを変える形で解決策を探っているところです」(服部氏)
服部氏によれば、法人顧客に対しては「コストダウンに有効で、SDGsにも貢献できる」という二つの側面でメリットを提供できるという。
2.出荷後の出戻り商品を、一般消費者向けのサービス「リアコネ」で販売促進
もう一つが、一度は小売店に出荷されたものの、売れずに返品されたものだ。小売店の陳列スペースは限られるため、旧製品は新しい商品と入れ替えられ棚落ちし、メーカーに戻され多くが廃棄される。
「小売店に出荷されて販売されている商品のうち、ほどなくして返品されてしまう予定の商品をコンシューマー向けのポイントサイト『リアコネ』上で指定し、その製品を購入したレシートをLINE送信してもらうことで、アマゾンギフトカードなどと交換できるリアコネポイントを還元します。
メーカー側が新商品やリニューアル商品を発売するときは、旧商品が大量に返品される大きな節目なので、その新商品発売の前のタイミングで『リアコネ』上でお客様にお知らせして、買っていただける仕組みです。消費者には、『今、その製品を買うとインセンティブやポイントが付く』いうメリットがあります」(服部氏)
対象となる主な製品は販売終了が近々せまっており、新商品との入れ替えタイミングのおよそ1~2か月前に「リアコネ」上に表示されるという。
「ドラッグストアは、新商品を店頭のスペースを獲得して陳列し、お客様に買っていただくというビジネスモデルなので、商品のリニューアルのタイミングで旧商品と切り替えることが重要なマーケティングアクションになっています。その旧商品の売り場がなくなってしまうタイミングの前にお客様に買ってもらうようなスキームを作りたいと考えました」(服部氏)
「リアコネ」には、既に7,000人ほどのサービスユーザーが登録しているが、顧客属性は二分されるという。
「一つは『(ポイント付与で)安く手に入るなら嬉しい』というシンプルな考えの方々、もう一つが、フードロスなどに対する高い意識を持っており、『貢献できる商品を選びたい』という考えの方々で、それぞれのユーザーさんに共感をいただいています」(服部氏)