母数が減っても「受注につながる条件」を探り続ける
これからBtoBマーケティングの取り組みを始めるマーケターの皆さんにお伝えしたいポイントが1つあります。それは、最終的に受注につながる条件を設定することです。

条件を厳しくした結果ファネルの上部が小さくなったとしても、インサイドセールスから営業までファネルの太さを変えずに受注できたとしたらどうでしょうか。そのリードの事業成果への貢献や、今後の可能性は明白に評価されるはずです。
次のプロセスで待っている人たちが多いにもかかわらず条件を厳しくしすぎると、全員にリードが行き渡らず不満が出ます。しかしながらそれ以上に良くないのはマーケティング施策に多くを投資し、無理をして商談を作った結果、受注率が低下してしまうことです。経営層からは「これ以上マーケティングに投資をしたくない」と思われるかもしれません。
最適な条件を見つけるまでには、試行錯誤と微調整が欠かせません。何度も試してみて、商談につながる条件を逆算して考える。そうするうちに「これだ」というものが見えてくると思います。
インサイドセールスが案件の見極めに用いるフレームワークの1つに「BANT」があります。これはBudget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)をヒアリングし、見込み顧客の有望度を測る考え方です。BANTのほかに「MEDDIC(※)」なども有名なので、それらを参考にしても良いと思います。どこまで条件が揃うかには議論の余地がありますが、少なくともマーケティングやインサイドセールスが単独で「これは商談です」と勝手に判断して営業に渡すことだけは止めましょう。
※Metrics(測定指標)、Economic Buyer(決裁権者)、Decision Criteria(意思決定基準)、Decision Process(意思決定プロセス)、Identify Pain(抱えている課題)、Champion(自社サービスの擁護者)の6項目をヒアリングし、見込み顧客の有望度を測るフレームワーク
ビジネスの状況は刻々と変化しています。期末に向けて条件の調整が必要になることは頻繁にありますし、期の途中のリソース変動のように内部的な変化に対応する必要も出てきます。インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスのリーダー同士で集まる機会を利用し、定期的な微調整をすることをお勧めします。
ナーチャリング用コンテンツのネタは提案資料から探す
ときどき、ウェビナーのコンテンツやメールのネタに困ったお客様から「コンテンツをどう作ればいいか」との質問をいただくことがあります。そんな時は自社のビジネスの成り立ちを考えてみてください。お客様に提供したい価値がある以上、コンテンツのネタは社内に必ずあるはずです。
データ活用やコンテンツマーケティングで知られるキーエンスの柘植朋紘さんは、お客様への提案資料に着目することを勧めています。私もその意見に賛成です。その製品/サービスがお客様の何に役立つのかをはじめ、提案書にはお客様に伝えたいメッセージは沢山盛り込まれているからです。
伝えたい中身を磨くこともさることながら、忘れてはいけないのがそのお客様が抱える課題に合わせたパーソナライゼーションです。お客様を取り巻く情報量は年々増加しており、その中でご自身の関心に合わない情報は当然切り捨てられてしまうからです。そして重要なのは距離感。お客様の検討に対する温度感はそれぞれまったく異なります。特にナーチャリングにおけるコミュニケーションの距離感には細心の注意を払って設計に取り組むと良いでしょう。