フレームワークは思考と行動があってこそ
──エンゲージメント4Pの活用ポイントを教えてください。
岩井:前提として重要なのは、フレームワークを書くだけでは何も解決しないということ。フレームワークは課題を可視化することで、そこから解決方法を考えて、“行動するための”ツールです。
奥谷:まずは関係者間でフレームワークをベースに共通認識を持つことが大事です。「そもそも自社の顧客価値すらわかっていなかった」というような気づきを得ることが大切だと思います。もしくは、「Placeは顧客接点だけど、自社にとってモバイルアプリが最適だろうか?」と考えを深めたり、新たな視点でコミュニケーションを始めたりするきっかけになるかもしれません。
岩井:エンゲージメント4Pとセットになった思考法もありますので、自社のビジネスモデルの現在地を確認しながら、「何ができていないか?」「これからどうしていくか?」を考えるのもおすすめです。
我々としては、エンゲージメント4Pのフレームワークから、思考とその先の行動を引き出したい。フレームワークは、メガネのレンズみたいなもの。今までとまったく違う何かを見るのではなく、異なる観点で事象を見るためのレンズです。「顧客基点のマーケティングをやりたいけれど、何から考えたらいいんだろう?」というときに、エンゲージメント4Pのレンズをかけていただくと良いのではないでしょうか。手法論のハウツーの追求ではなく、課題解釈に活用いただきたいですね。
奥谷:エンゲージメント4Pはとてもシンプルに表したので、幅広い職種の方に「今のマーケティングはこういうことか」と理解いただけると思います。特にマーケターには、自分の仕事を戦術という点で捉えず、ビジネスモデルという面で捉えるためにこのフレームワークを使ってほしいです。伝えたいことは、「もうプロダクト至上主義ではなくなっているよ」ということ。プロダクトをどう売るかだけではなく、顧客を知り、エンゲージメントに気づければ、マーケターは新規事業の担当者にもなれるのです。キャリアの次のステップのために、全体最適の視野を持ってフレームワークを使ってくれると嬉しいです。