「変化のある伝え方」で社内の認知・理解へ
──社内報ではどのような内容を伝えたのでしょうか?
菅:毎月1回、異なる内容で発信してきました。いつもLGBTQに関するトピックを考え、知らない人には知ってもらい、知っている人はより深く内容を知ってもらうために情報発信をしています。
菅:身近に当事者がいないとなると理解がしにくいものです。少しでも身近に感じてもらえるように、テレビで見ているような有名人の方が発言した内容を記事にしたりもしていますね。初めは紙で発行していましたが、現在では会社のポータルサイトで発信しており、現場にいる方でもPCやスマホでいつでもどこでも見られるようにしています。
他にも沢山の取り組みがあって、たとえば社員旅行でも、東京レインボープライド共同代表理事の杉山文乃さんを講演にお呼びして、自身の半生を語っていただきました。
当時も社員の中にはやはりLGBTQという言葉を知らない、実際に会ったことないという人がいました。しかし、講演を聞いたときに私の肩を掴んで「あの人の生き様はすごい!」と言ってくれたんですね。LGBTQ、ジェンダー観といった抽象的な言葉よりも「この人はすごい」という具体的なエピソードから、個人の価値観をリスペクトし、理解していく人もいます。
こうして社内で啓蒙活動が行われたこと、また一緒に会社を再建していたことでプライドイベントのパレードに来てくれる方も増えました。体験をした社員に「私の部下も来年連れてきたい」と言ってもらえたことも多くあります。実は多様性というよりもいわゆる縦社会みたいなところで一気に増え、理解も進んだところも面白かったです。
施策を重ねて、実体験が増えることはとても重要だと思います。プライドパレードは本当に歩いた分だけ出会いも発見もある、素晴らしい機会です。社員一人ひとりが思い思いの体験をすることで、自身の中にあったボーダーを取り払う機会を与えてくれる場所ですね。
「社内は安全な場所」と思ってもらえた
──社内ではどのような変化が現れていますか?
菅:会社の中で大きな変化を感じたことが2つあります。
一つは、長く勤める社員のご家族がトランスジェンダーをカミングアウトできる、またそれを受け入れられる関係性になったこと。その社員は「パレードを一緒に歩いていたことでしっかり受け止められた」とお礼を言ってくれました。
もう一つは、会社の中でカミングアウトしてくれている方がいること。弊社ではオープンにしている当事者の社員がいます。改めて言うと、私たちは自分のアイデンティティとパートナーシップの選択を互いに尊重するコミュニティを作ろうと思っているんですね。チェリオという事業のため、仲間のためにみんなで働いてくれているわけですから、その人たちがどんな人で誰を愛しても、もちろんそれはその人たちのチョイスでいい。そう信じている仲間が集まってくれて、その人たちがここは安全で信頼できる場所だと思ってくれているのは嬉しいですね。
