納期、流通網…...紙ならではの課題
MZ:紙の雑誌だからこそ感じる課題はありますか。
井口:取材・編集・デザインなど、すべての工程を印刷日までに終わらせなくてはならないため、スケジュール管理が大変です。また、Webメディアなら後から修正することもできますが「印刷してしまったら二度と変更できない」という緊張感も紙媒体ならではだと思います。

川久保:私は流通網の確保に苦労しました。VOL.03までは直接取引で取り扱っていただける書店と自社サイト、Amazonでの販売が中心でしたが、起業時代を見て流通業務を委託できる外部企業の存在を知ったんです。おかげでVOL.04からは全国流通を実現させることができました。現在はネクストステップとして、表紙の改良など店頭で手に取ってもらうための工夫を重ねています。
MZ:WebメディアのようにPVやクリック数といった効果測定ができない点については、課題に感じてらっしゃいますか。
井口:単純に「売れたか否か」はわかりますが、雑誌の売上が「起業や自社サービスへの興味にどうつながったのか」という指標で効果を測定することは本当に難しいです。ただ、雑誌単体で成果を追っているわけではなく「様々な取り組みを行う中で雑誌がどういう役割を担っているのか」という視点で効果を測っています。
川久保:効果の見えづらさは私も課題に感じています。良いと思った記事があったとしても、Webの記事のようにリツイートする仕組みもありません。ただ、その分濃いフィードバックが得られることがあると感じています。
既存のコンセプトや形から更なる発展形へ
MZ:川久保さんは起業時代、井口さんはXD MAGAZINEに対して、それぞれどのような感想をお持ちですか。
川久保:XD MAGAZINEはプロモーションの改善に注力しているので、既にコンビニにも配本されている起業時代を「すごいな」と思って見ています。
井口:ありがとうございます。起業時代はノウハウや手順などの情報が多く、ムック的な性質が強いのですが、XD MAGAZINEは動詞のテーマに対して様々な切り口で特集を組んでらっしゃいますよね。その点が雑誌然としていて、素直に憧れを抱きます。
MZ:最後に、お二人の今後の展望をお聞かせください。
井口:ゆくゆくは起業時代を「ライフスタイル誌」にしたいと考えています。というのも、読者が現段階で明確に起業を目指していなくとも、いつか起業について真剣に考え始めた時にすぐにでも動き出せる状態であってほしい、と考えているからです。
川久保:多角的にCXについて取り組んでいくために、CXの研究所のようなものの設立を構想しています。たとえば、有識者を招いてイベントを開催したり、CXに関連する調査レポートを発行したり……。XD MAGAZINEもその一環として、プレイドの目指す方向性などを含めた情報を、雑誌だからこそ生み出せる世界観の中で発信し続けていきたいです。