SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

『XD MAGAZINE』×『起業時代』 両誌編集長の対談を通じて紐解く紙メディアの価値とは

紙の雑誌を作ることにした最大の理由は「偶発的な出会い」の創出

MZ:企業ブランディングとしてのオウンドメディアはWebのみで展開されることが多いですが、お二人はなぜ紙の雑誌として出すことにしたのでしょうか。

井口:Webメディアも当然重要なのですが、ユーザーが検索してくれないと出会えないので、既にニーズがある人にしかコンタクトできません。しかし紙媒体であれば、書店やコンビニでたまたま見かけて「今すぐ起業したいというわけではないけれど、少し興味がある」という方々との偶発的な出会いが期待できます。それが紙の雑誌を作ることにした一番の理由でした。

井口:実際に「コンビニでたまたま見つけて買いました」というツイートを見かけた時は、非常に嬉しかったです。起業のハードルを下げるというコンセプトにも適った形だと思います。

 また、オウンドメディアを通じたコンテンツマーケティングには競合各社も取り組んでいるはずです。起業・開業について調べている読者からするとWeb上には情報があふれていて、どれを信じて良いかわからない状況にもなっています。そんな中で、読者が本当に必要とする情報だけに絞った読みやすい紙媒体を作ることで、手に取ってもらいやすくなるのではないかと考えました。

川久保:当社では、先に「XD」というWebメディアを運営していたのですが「オンラインだと忙しいマーケターの方々にはなかなか読んでいただけない」と感じていました。そこで、2019年にWebメディアの記事を再編集した紙媒体を制作。KARTE Friendsに郵送したり、直接会った人やイベントの来場者に渡したりしたところ、Webメディアを読まない層にまで届き、手応えを得られました。

 ただ、元々Web記事だったものを後付けで特集へと仕立てることに、徐々に限界を感じていきました。「やはり紙媒体用に取材をしないと難しいな」と考え、Webメディアとは別に独自取材を基にした紙媒体のXD MAGAZINEを発行することになったのです。

ブランドの世界観が伝えられる

MZ:潜在層の読者と出会えること以外にも、紙媒体ならではのメリットは感じていますか。

川久保:Webメディアは読者が主体性をもって読むものなので、こちら側に「この記事の次はこの記事を読んでほしい」という思惑があっても読み手をコントロールすることはできません。一方、紙媒体は1つのパッケージとして届けることができる点に強みがあると思います。我々の意図した順番や体裁で、ブランドが目指す「世界観」を伝えることができるのです。

井口:「紙媒体が下火になりつつある」と言われていますが、元が強すぎただけで、作ってみたら「やはり強いな」と思いました。実際、当社では反響の大きさを実感しています。起業・開業関連の情報は法律などが絡むこともあり、どうしてもコンテンツ量が多くなりがちです。そんな中、起業時代はあえて情報を絞り、厚みが出ないよう薄く作っています。紙の本は厚みで情報量が視覚的に伝わるため、読者の起業に対する心理的なハードルを下げる効果が期待できるからです。

 ただ、当社も紙の雑誌だけで完結しようとは考えていません。2022年6月に起業時代のアプリを出すなど、読者のシーンやタイミングに応じて適切な媒体を選べるようにしています。Webと紙で総合的にやっていくことが重要だという考えです。

次のページ
納期、流通網…...紙ならではの課題

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/08/19 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39591

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング