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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2022 Autumn

宅配便の取り扱い個数は年間約22億個!利用者の受け取り体験向上のためにヤマト運輸が取り組むDX

ライフスタイルに合わせた“受け取り体験”を提供

 宅急便のDXの取り組みは生産性だけでなく、顧客体験の向上にも寄与しているという。たとえばクロネコメンバーズを刷新し、顧客と荷物の情報のリアルタイムな連携や一元化を実現。これにより、様々なデータの分析・活用が可能となっただけでなく、各種提供機能の利便性向上にもつながっているとのことだ。また「ヤマト運輸LINE公式アカウント」ではチャットで荷物の配達日時や場所の変更を行えるようにするなど、新しい受け取り体験も提供している。

 事業構造改革の二つ目にあたる「ECエコシステムの確立」は、荷物を受け取る「利用者」と、発送する「事業者」そして「運び手」の3者をECエコシステムでつなぎ、Win-Winなスキームをつくっていくことを意味する。ヤマト運輸ではタッチポイントを増やすことで、利用者のライフスタイルや生活動線に合わせた受け取り体験を提供しているという。

「ヤマトグループは、ロンドンのベンチャー企業Doddle社と協業しています。Doddle社の『Click&Collectシステム』と当社のデジタルプラットフォームを組み合わせることで、特別な仕組みを導入しなくても、スマホやタブレットを設置するだけで荷物の受け取りや返品対応が可能となるのです。協業以外にも『マルチデジタルキープラットフォーム』を開発し、オートロック付きマンションでも置き配を実現。非対面配送における利便性の向上と、ドライバーの業務負荷軽減に取り組んでいます」(中林氏)

 三つ目の事業構造改革は「法人向け物流事業の強化」だ。具体的な取り組みとして、機能ごとに分かれていた七つの事業会社を統合。ヤマトグループ全体の最適なソリューションを顧客ニーズに合わせて展開できるよう、組織体制を変更したという。

デジタル分野に1,000億円を投資

 事業構造改革を進めるために行われているのが、三つの基盤構造改革だ。一つ目の「グループ経営体制の刷新」では、先述の通り機能ごとに分かれていた七つの事業会社をヤマト運輸に統合し「Oneヤマト」としてシームレスな顧客体験の提供を目指している。

 二つ目の「データ・ドリブン経営への転換」では、デジタル分野に4年間で1,000億円を投資。300人規模の新・デジタル組織をつくり、5つのデータ戦略を実施しているという。デジタル基盤の強化とデジタルデータの整備を行いながら、ヤマトグループのデジタルプラットフォームを拡充・拡張し、データ・ドリブン経営への転換を進めているそうだ。

「目指しているのは、フィジカルとデジタルが融合した『デジタルツイン』です。デジタルの中に現実世界のコピーをつくり、その中でシミュレーションや計算を実行するというもの。ゆくゆくはAI・機械学習を用いた施策の検討や、経営の意思決定などもデジタルツインの中で行っていく考えです」(中林氏)

 ヤマトグループが三つの事業構造改革と三つの基盤構造改革を通して目指すゴールはどこなのか。中林氏は「2024年3月期で営業収益2兆円、営業利益率6%以上を確保すること」と語る。達成に向けてITデジタル投資1,000億円を含む4,000億円を投資しながら改革を進めているそうだ。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/05 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39861

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