コロナ禍で会員数が急増。その要因と仕掛けた施策とは?
MZ:6月時点でKuradashiの会員登録数は35万人、商品を提供している協賛企業数は990社以上となっています。会員数は2021年から急成長を見せていますが、どのような施策を行ってきたのでしょうか。
溝口:まず、2021年からの急成長にはコロナ禍が大きく影響しています。新型コロナウイルスの影響で本来飲食店に卸すはずだった商品が廃棄になる、地域のお土産が余ってしまうなどの問題が浮き彫りになり、社会的にフードロスの課題意識が高まりました。
そのような背景の中、消費者にフードロスの現状を正しく理解してもらいながら、同時にKuradashiの存在を知ってもらえるよう、メディアを通したPR活動に力を入れました。
様々な切り口で話題を作るため、たとえば今年のバレンタインには、「私たちのバレンタインは2月15日から始まります。」というコピーのもと、2月15日からバレンタインショップを期間限定でオープンしました。その取り組みをテレビで取り上げてもらうことで、季節イベントの裏にあるフードロスの現状について広く知ってもらうと同時に、Kuradashiの取り組みを認知してもらうことを目指しました。
次に注力したのが、SNS広告など購入促進を目的とした施策です。広告では、定価よりもおトクであることを訴求しながら、「訳あり商品」などの言葉は使わず、品質に問題がない点も伝えるようにしています。
また、お客様が会員登録後Kuradashiを利用することで、どれだけフードロス解決・社会貢献活動につながっているかを視覚化できるようにしています。具体的には、マイページ上でどれだけのフードロス削減に貢献したか、各注文でどの団体に寄付したかなどを見られるようにしています。
使い始めるきっかけが「おトク」でも、サービス体験を通じて、ソーシャルグッドな活動をしていたと気づいてもらえる工夫を心掛けています。

Kuradashiのパーパスを明確にすべく、ブランドリニューアルへ
MZ:クラダシは、2022年7月の資金調達と合わせて、ブランドリニューアルを実施されましたね。どのような背景があったのでしょうか。
溝口:クラダシでは設立から7年間、ミッション・ビジョンを変えずにサービス運営を行ってきました。しかし、Kuradashiのブランドパーパスが明確になっておらず、お客様にどのような体験を提供したいか言語化できていませんでした。また、Kuradashiの競合サービスも続々と登場していました。
そのため、クラダシが日本一フードロスを減らす会社であること、そしてサービスの性格を明確にしたいと思い、2022年1月からブランド戦略策定に向け、牧野圭太さんを中心とする、DEに協力いただきながらブランドリニューアルを進めました。
「社会貢献=楽しく気軽に」が伝わるロゴ・キャラクターを作成
MZ:では、どのようにブランドリニューアルを進めていったのでしょうか。
溝口:最初に行ったのはパーパスの策定です。パートナー企業やお客様の声を集めて、誰にどのような価値を提供すべきか議論しました。その結果生まれたのが「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る。」というパーパスです。
議論を進める中で、日本では社会貢献に対して「堅苦しい」「ハードルが高い」というイメージを持たれている方が多いことが見えてきました。弊社代表の関藤は創業当時から「社会貢献は楽しくて気軽にできるものであるべき」と考えており、私たちもそうあるべきと考えていたので、このパーパスにしました。

MZ:クリエイティブパートナーであるDEの牧野さんにも話をうかがいます。今回のブランドリニューアルではどのような支援をしてきたのでしょうか。
牧野:今回のブランドリニューアルでは、パーパス策定のサポートはもちろん、ロゴのデザインやコピーの作成などを担当しています。ロゴのデザインに関しては、できるだけソーシャルグッドを親しみやすく感じられるような色味と丸みのある書体に変更しました。「たのしく、やさしく、おやすく」と、パーパスがより世の中に浸透していきやすいコピー(Kuradashi哲学)も作りました。

牧野:そして、ファミリー層の利用が多いことから、子どもにもフードロスについて知ってもらえる機会を作るために、「フー」と「ドロス」というキャラクターも新たに作成しました。
