ファンづくりに「STAFF BOARD」を活用
アダストリアが持つ強みとは、具体的にどのようなものなのか。木村氏はまず、1,400万人の会員を抱える自社ECサイト「.st(ドットエスティ)」を挙げる。国内のファッション企業が運営するECサイトとしては2番目の規模を誇る.st。最大の特徴は「全国4,000人以上のスタッフが日々コーディネートを投稿する『STAFF BOARD』というコンテンツにある」という。

スタッフボードでは、店舗スタッフがファッションのみならずライフスタイルの提案を行い、顧客とのコミュニケーションを図っているそうだ。木村氏は「FOREVER21でもスタッフボードを活用したファンづくりに取り組んでいく」と展望を語る。
また「30以上の自社ブランドをゼロから立ち上げ、成長させてきたブランディングのノウハウもアダストリアの強み」と木村氏。実際、アダストリアでは韓国のセレクトショップ「ALAND(エーランド)」を2020年に日本で展開し、Z世代を中心にファン層を広げた実績がある。今回のFOREVER21再上陸を通じ「海外ブランドの日本展開における成功モデルを確立していく」と表明する。
5年で売上高約100億円を目指す
ABGはFOREVER21のリブランディングにともない、ファストファッションが持つ「大量生産・大量販売・大量廃棄」というイメージからの脱却を図っているそうだ。一方のアダストリアでも、全商品の50%をサステナブルな原料や加工に切り替えると宣言するなど、環境に配慮した取り組みを進めている。

「FOREVER21では初年度、商品構成のうち20%をサステナブルな素材で展開する予定です。また当社には、サプライチェーンを活かした適時・適価・適量での生産管理能力が備わっています。無駄なものをつくらず、過剰な値下げをせず、きっちり売り切ることで、トレンドファッションのサステナビリティにも正面から向き合っていくつもりです」(木村氏)
木村氏はFOREVER21の事業計画について「5年で売上高約100億円、うちEC60億円、店舗40億円を目指す」と発表。15の実店舗を展開する予定で、超大型店の出店は考えていないという。一方でオンラインには注力し、EC化率は6割を目指すそうだ。これらの目標を達成するために、どのようなマーケティング戦略を描いているのか。アダストリアでクリエイティブディレクターを務める野田源太郎氏が詳しく解説する。