ライブコマースの集客に効いた放送局アプリ
恩地(アイレップ):今回の取り組みでわかったことに「ライブコマースと放送局アプリの相性の良さ」があります。アンケートの結果を見ても、放送局アプリ経由の視聴者がほとんどでした。たとえインフルエンサーであっても、多くの視聴者を連れてくるのが難しいライブコマースの世界。「やはり放送局は強い」と感じました。コンテンツの信頼度が違います。
だからこそ、放送局が元々抱えている視聴者層に合わせた配信コンテンツのあり方が重要です。たとえば配信時間帯や曜日、決済までの流れなど、視聴者層を意識したチューニングが重要だと思います。「テレビ×ライブコマース」の領域は事例が少なく、まだ正解といえる勝ちパターンはないので、テレビのプロである皆さんがどのようなライブコマースの解を導くのか、今後の配信がとても楽しみです。
二宮(南海放送):私たち放送局には、地域からの信頼とネットワークがあります。今後も放送局の構成力や制作力を活かして、放送局ならではのライブコマースのスタイルを確立していきたいです。
恩地(アイレップ):当社では、今回の南海放送さんとの取り組みを1つのケースで終わらせず、得られた知見を汎用性のあるマニュアルとして納品しました。マニュアルを通じて「放送局がライブコマースへ取り組む際に気をつける点」「放送局のスキルの活かし方」といったノウハウをお伝えして、活用いただいています。
22の放送局がライブコマースを実施
MZ:博報堂DYMPでは2022年5月から、放送局によるライブコマースサービス「クラフトーク」を開始されたそうですね。どのようなサービスなのでしょうか?
蒲地(博報堂DYMP):クラフトークは、放送局の映像制作力を活用して地元の産品の情緒的価値を発信する「にっぽん発掘型」のエモーショナルなECサービスです。全国の放送局から系列を超えて賛同いただいた21地区22の放送局により、リレー方式で毎週ライブコマースを配信しています。各放送局のメディアパワーを活用した事前告知によって、クラフトークの集客を行っています。
伊藤(博報堂DYMP):2022年5月に立ち上げたクラフトークは、まだまだ手探りの状態で課題も山積みだと認識しています。日々改善策を考えて、今後さらにバージョンアップしていく予定です。「日本市場にライブコマースが浸透している」とはまだ言えませんが、最近ではLINEやTwitterなどのSNSがライブコマースの機能をどんどん導入していますよね。今後は当たり前のものになっていくのではないでしょうか。
恩地(アイレップ):ライブコマースが当たり前のものになった先には、コンテンツ力がものをいう世界が広がっていると思います。そう考えると、コンテンツ制作のプロである放送局が先んじてライブコマースに取り組んでいくことは非常に価値ある動きではないでしょうか。クラフトークの取り組みから生まれるコンテンツに私も期待しています。
二宮(南海放送):クラフトークでライブコマースに興味を持っている局同士がタッグを組み、お互いの地産品の良さを共有しながら視聴者に届けることで、地域活性化や地域創生につなげていきたいです。
ライブコマースの成功事例をもっと知りたい方は
本記事に登場した恩地氏は、2022年11月17日(木)の「MarkeZine Day 2022 Retail」に登壇します。DXを推進し、早くからライブコマースを実践しているミルボンの蓑原氏とともに、ライブコマースのリアルな活用事例を紹介。ライブコマースで顧客とのエンゲージメントを向上させ、ロイヤルカスタマーを醸成したいと考える方は、ぜひご参加ください。
【開催概要】
イベント名:MarkeZine Day 2022 Retail
セッション名:「エンゲージメントを最大化するライブコマース ~企業のDX化最前線~」
日時:2022年11月17日(木)14:40~15:10
形式:オンライン開催
参加費:無料(事前登録制)