来場者の体験に基づく効果測定の実現へ
MZ:丹羽さんは先ほど「オンオフ統合施策を考える際は、オンライン・オフラインのターゲット設定やアプローチの方法を慎重に擦り合わせる必要がある」とおっしゃっていましたが、ファンタジーメディアを活用する際にもその点は留意すべきでしょうか。
丹羽(Septeni Global):ファンタジーメディアのサービス設計はシンプルです。クレーンゲームを嗜む層に対し、景品やQRコードを介してApp Storeや広告主様のWebページの遷移を促します。オンオフ統合施策は往々にして複雑になりがち。だからこそ、ターゲットの設定やアプローチをシンプルに設計することが重要なのです。
MZ:イオンファンタジーはSepteni Globalと協力しながら、国内外の企業に向けてファンタジーメディアを提案されています。より多くの広告主にファンタジーメディアを活用してもらうために、取り組みたいことがあれば教えてください。
福森(イオンファンタジー):当社メディアの強みとして、全国の店舗において、リアルなお客様がそこにいることです。しかし現段階では来店中のお客様との接点のみ。これを現在検討している当社アプリとの連携を行うことにより、来店時以外でもお客様との接点を持つことができるようになります。
将来的な展望ですが、当社はイオングループに属しており、グループ企業が運営するモールやモール内の専門店、スーパーには、日々、本当に多くのお客様が来店されています。個人情報の取り扱いには十分注意しつつ、相互送客につながるような取り組みができれば、グループとしてシナジーを発揮しつつ、お客様にもより利便性を感じていただくことができるかと思います。それにより広告主様の広告効果も一層高まるのではないでしょうか。
「精緻化」に囚われず、独自の指標を提案する
MZ:イオンファンタジーは中国やASEAN各国にも事業を展開していると伺いました。
福森(イオンファンタジー):はい。現在、中国・マレーシア・タイ・フィリピン・インドネシア・ベトナム・カンボジアにも当社が運営する施設は存在します。海外では日本よりもアプリの利用が進んでおりますし、各社においてアプリの活用が進んでいますので、アプリを軸にして広告事業を展開していきたいと考えています。
MZ:福森さんの展望を踏まえ、Septeni Globalはどのような価値を提供できるとお考えですか?
丹羽(Septeni Global):当社としては、レポーティングの品質向上に一層力を入れていきたいと考えています。ただし、ターゲティングなど「個人をより精緻に特定する」という文脈での品質向上ではありません。個人情報保護強化の流れは今後一層強まることが予想されます。その背景を踏まえ、ターゲティング文脈での精緻化を目指すのではなく、ファンタジーメディアというオンオフ統合したユニークな広告媒体だからこそ提案できる独自の指標を探っていきたいです。
MZ:具体的にどのような指標を想定されていますか。
丹羽(Septeni Global):たとえば、ある広告主様が全国のファンタジーメディアに広告を出稿したものの、QRコードを通じたWebサイトへの遷移数、モバイルアプリのダウンロード数への遷移数が各地域で大幅に異なっていたとしましょう。「差が生まれた原因に●●という地域性があると考えられます」など、地域の特徴などにまで踏み込んだレポーティングができれば、ファンタジーメディアはより広告主様に満足してもらえる広告商材になると思います。