売上に効く、Instagramコマースの3つの機能
「好き」と「欲しい」を作る4つのHOW、次は「コマース」のパートだ。クリエイターマーケティングによって興味関心を高めたユーザーを、購買へと導く機能がInstagramにはある。Facebook Japanの丸山祐子氏は、「売上と広告パフォーマンスに効くInstagramコマース」について紹介した。
日本のInstagram利用者は、グローバルに比べ、ハッシュタグを使って検索をする回数が5倍も多い。このことから、Instagramを「発見型コマース」と位置付けると、Instagramは消費者とブランド・商品が出合うチャンスがあふれた場と捉えることができる。コマースの領域で「好き」と「欲しい」を増やすために、Instagramが提供している広告機能は、次の3つだ。
よりリッチなショップ作りを実現する「コミュニティコンテンツ」
Instagramで開設されているショップを分析していくと、商品詳細ページをいかに作り込めるか? が重要であることがわかってくる。商品詳細ページの情報量を増やし、コンテンツ化することで、より商品理解と購買意欲を高めることができるからだ。ただ、「商品詳細ページを拡充したいけど、画像などの素材を十分に揃えるコストがない」というケースもあるだろう。
そんな時に有用なのが「コミュニティコンテンツ」という機能。ショップ機能を利用かつ一定量の投稿を達成しているアカウントが使用できる機能だ。
コミュニティコンテンツでは、自社のショップがメンションもしくはタグ付けされた投稿を一覧で見ることができ、それぞれの投稿者にショップのコンテンツとして掲載可能かの許諾を取ることもできる。投稿者の写真を商品詳細ページなどに追加することで、よりリッチなショップ作りが実現する。
ショップ関連のデータを広告に活用する「ショッピングカスタムオーディエンス機能」
続いて2つ目は、「ショッピングカスタムオーディエンス機能」。この機能では、Instagramオンサイト上のデータを広告に活用することができる。具体的には、自社のInstagramショップを見に来ている、既に商品やブランドに対して興味関心を持っている利用者へ広告を配信することが可能。ショップのページを訪問した人、投稿を保存した人などアクションごとにオーディエンス設定ができ、またその類似拡張によるターゲティングも可能だ。
大手ECへの誘導を促す「コラボレーション広告」など新機能も
最後3つ目に解説されたのは、コマース領域の広告機能のアップデートについて。「ADVANTAGE+ショッピングキャンペーン」では、今まで手作業で行っていたキャンペーン設定、クリエイティブの配置といった作業をすべて自動化。労力やモニタリングの手間を最小限に抑えながら、オンライン販売のキャンペーンパフォーマンスを最大化する機能だ。
加えて、自社ECを持たず、大手ECサイトで商品を販売している企業向けの機能「コラボレーション広告」も紹介された。日本では楽天とのパートナーシップ締結により、「Ichiba Dynamic – Facebook」がリリース。楽天市場での閲覧したデータをもとに、その商品や関連商材をInstagram/Facebook広告で表示し、大手ECへの誘導や売上拡大を狙うことができる。
本セッションではこの後、自社で化粧品販売やマーケティングを行いながら、本業ではD2C企業を支援するCARTA COMMUNICATIONSのコマースコンテナチームマネージャー 加藤潤一氏が登壇。自社で実践したソーシャルコマースから得られた知見を共有した。
避けて通れない「データ活用とプライバシー保護」に関するテーマも
最後のセッションでは、昨今のCookieレス問題などを受け、プライバシーを尊重しながらもパフォーマンスを上げていくマーケティングの在り方について、Facebook Japan 近藤克尚氏からFacebookとしての見解や意向が示された。
現在、人々の行動の変化やテクノロジーの進歩、各種規制によって、広告業界は日々変化している。変化の要因を改めて整理すると、大きくは以下の3つとなる。
1.GDPR、CCPA、日本の個人情報保護法改正など、プライバシーに関連法による規制。利用者がCookie利用に同意しないとビジネス成果全体を把握することができない。
2.広告ブロックシステムなどのテクノロジーの進化も著しい。広告を非表示にするオプションが新たに増えてきている。
3.プラットフォームの新たなデータに関するポリシーの導入。AppleのATT(App Tracking Transparency)、Googleのプライバシーサンドボックスなどがこれにあたる。
これらの要因が重なり、マーケティングにおいては、カスタマージャーニーの全体像を把握することが難しくなっている。これは、ターゲティングだけでなく効果計測にも影響を及ぼすものだ。
ここで、「パーソナライズ広告は利用者にとってもビジネスにとっても有益である」というのがMeta社の考え。近藤氏も「パーソナライゼーションとデータのプライバシーは両立できると信じています」と話す。
このための具体的な取り組みとして、Metaはインフラ構築に注力。予測を基にキャンペーンのパフォーマンスの全体像を把握できるようにする「コンバージョンモデリング」の開発と、利用者のプライバシーを尊重しつつ、最大限にデータを活用できる「Privacy-enhancing technologies(プライバシー強化技術)」などに引き続き投資していく考えだという。セッションでは、コンバージョンAPIの導入事例として、TowaStela 代表取締役の丸谷陽介氏、Septeni Japanのシニアコンサルタント 池田菜摘氏を交えたパネルディスカッションがあった他、広告システムの機能改善・アップデートについても共有があった。
最後に近藤氏は、「プライバシーを尊重したパフォーマンスマーケティングの実現に向けて、皆様と様々なトライをしていきたいと思っています」と意気込みを述べ、セッションを締めくくった。
本レポートでは、紹介しきれず割愛した内容も多々ある。イベントのアーカイブ視聴ページから、知っておくべきInstagramの“今”を逃さずチェックしてほしい。
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