“売れている”ことを嫌味なく伝えられる「感謝セール」
MZ:ファミマル1周年では、主力20商品の20円引きセールキャンペーンを実施されていました。プライベートブランドの1周年で記者会見をするのもめずらしいと思いましたが、この感謝セールの意図をうかがえますか?

足立:1周年も、引き続きお客様に「ファミマル」を知ってもらう機会を作る活動の一環です。実際1周年ですし、とても好調で、何よりお客様に感謝しています。それをわかりやすく表して、お客様に還元したい、と。なので「感謝セール」は最初から決めていました。

三浦:このお題を受けて、どうしたら最もインパクトのある形でお客様に喜んでいただけるかを考えて、コピーやプロモーション戦略を練っていきました。感謝セールって、売れていることを嫌味なく爽やかに伝えられるフォーマットなんですよね。普通、自慢話って気持ちよく聞けないじゃないですか。
MZ:確かに(笑)。広告展開も、テレビCMやOOHなど複数展開されていました。特にCMは、生田斗真さんを起用しながら静止画という……。
三浦:はい。これも、できるだけ商品の割引に予算を回そうという意図ですね。2021年のローンチのタイミングはとにかく登場感にこだわって、音楽も「登場感といえばボレロだろう!」と華やかにしましたが、対して今回はあえての抜け感を大事に、チープなBGMにしています。

ファミリーマートが注目されると、キャンペーンにたどり着く動線設計
MZ:広告全体の方針について教えてください。
三浦:ベースにあるのは、足立さんがCMO就任時に打ち出された「もっと美味しく」「たのしいおトク」「『あなた』のうれしい」「食の安全・安心、地球にもやさしい」「わくわく働けるお店」という5つの方針です。
ファミマルの3原則が「おいしい◎ うれしい◎ あんしん◎」なんですね。この本質的で限りなくシンプルな要素を土台に、「めちゃくちゃ売れている勢いのあるブランド」であることを、誠実でありながらもクスッと笑えるファミリーマートらしいトンマナでお伝えしていこうと考えました。

MZ:テレビCM以外の展開についてもうかがえますか?
三浦:新聞広告では、お客様への感謝とともに、ライバルへの感謝も表しました。実際、強いライバルの存在も、ファミリーマートの社内の方々と僕ら外部パートナーの皆が一丸となってがんばれた要因なので。欧米では、競合を挑発するような広告はよくありますが、日本では過激なメッセージはあまり好まれません。その中でも、感謝の気持ちとチャレンジャーの姿勢を、謙虚に、上品に、ちょっとやんちゃに伝えられるよう精査して、この表現に着地しました。

三浦:それから渋谷駅のOOHでは、ローンチ時の広告の“続編”として「(No.1を入れ替えよう)と、1年前に広告しましたが、だいぶいい感じです!!」と2行目だけを変えて掲出しました。これに気づいてくれた方が多く、Twitterでも話題になって、お客様にわくわくしてもらえたなと思いましたね。

MZ:こう見ると、いずれも1周年や感謝セールを大きく打ち出したりしていないですね。
三浦:そうですね。実はファミリーマートにとって最大のメディアは、テレビでもOOHでもなく店舗そのものです。お店入り口のボードや店内ビジョン、POPなどでは感謝セールをしっかり訴求して、商品に手を伸ばしてもらえるように、店外での展開との接続を意識して設計しています。