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「売場」から「メディア」へと変貌するECサイト OMOの進展で店舗でもUGCの活用が必須に

 定番機能となったレビュー(口コミ)を筆頭に、ECサイト上のUGCが存在感を増している。ECはもはや単なる売場ではなく、多様なコンテンツを有する「コマースメディア」へと変貌を遂げつつある。一方で、OMOの進展とともにオフラインの店舗でも、EC同様にUGCの活用が求められている。2022年12月1日開催の「ECzine Day 2022 Winter」では、ZETA株式会社 代表取締役社長 山崎徳之氏が登壇。レビューを中心としたUGC活用やOMOの進化、ECに求められる役割の変化などを解説した。

変わるレビューの形 「誰が」「何について」評価しているかが重要に

 ECサイトにおけるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用が増えている。その代表とも言えるのが「レビュー」だ。ZETAの調査によれば、ECにおける売上トップ100にランクインするサイトのレビュー機能導入率は75%。ここ数年で、導入数とともにレビューの機能自体も進化してきた。

「当初は商品に対する総合評価をスターレーティング(星の数)で表示するサイトが多かったのですが、今日では複数の評価項目を設けた多軸レビュー、レビュアーの属性を示すレビュアー情報の掲載、画像投稿機能など多機能化が進んでいます」(山崎氏)

ZETA株式会社 代表取締役社長 山崎徳之氏
ZETA株式会社 代表取締役社長 山崎徳之氏

 レビュー機能が拡充される中でとくに重要なのは、レビュアー情報と多軸レビューだと山崎氏は言う。

「『どんな人が』『何について』評価しているのかわからなければ、ユーザーはその商品が自分に合うかどうかを判断できません。レビュアー属性と評価項目の掛け合わせでデータが増えるとともに精度が高まり、より多くのユーザーに有用な情報を提供できるようになります」(山崎氏)

多軸レビュー
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 自分以外のユーザーから寄せられたレビューは購入判断の参考になり、それがポジティブな評価であればソーシャルプルーフとなり得る。山崎氏は「レビューはブランドやメーカーからの説明より12倍信頼されているという調査データもある」と付け加えた。

 レビューを発展させ、双方向性を持たせたUGCが「Q&A」だ。購入を検討しているユーザーが商品について質問を投げかけ、該当商品の購入者や店舗スタッフ、ときにはECのスタッフやメーカーの担当者が回答する。そこから質問や回答が複数続くケースもある。複数人のコミュニケーションから生成されるという意味では、よりSNSに近いUGCだ。

「Q&Aに参加するユーザーの多くは購入に対して前向きで、ほかのユーザーによる評価を求める傾向も強いです。そのためQ&Aは非常に影響力の大きいUGCと言えます」(山崎氏)

 レビューやQ&Aに加え、最近ではTwitterなどのSNSでおなじみの「ハッシュタグ」もECサイトで活用されるようになってきた。商品説明の下に複数のハッシュタグを付け、それらをクリック(タップ)すると同じハッシュタグに紐づく商品やレビューの一覧が表示されるというものだ。

ハッシュタグ
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「ハッシュタグは、『ある商品から別の商品』『商品からレビュー』『レビューから商品』『レビューから別のレビュー』といった導線を生むため、サイト内の回遊性を高めることができます。

 また、ハッシュタグはUGCのカテゴリー分けを実現する側面があり、ECで扱う商品にも有効です。デフォルトで設定された商品情報に加え、自由度の高い項目を設定したい場合などに活用できます」(山崎氏)

 アパレルであれば、トップスやインナーなどのジャンル、メンズ/レディース、サイズといった項目が定型のカテゴリーだろう。こうしたデフォルトの項目に加えて、たとえば「テレワーク」のような従来と異なる属性を容易に追加できる点が特徴だ。

「店舗で使うEC」とは インストアアプリの可能性

 多様化・進化し続けるレビューだが、活用の場はオンラインだけではない。昨今、店舗とEC双方を運営するコマース事業者にとって最優先課題となっているのが、OMO(Online Merges with Offline)への取り組みだ。OMOの目指すところはCXの向上。その第一歩は、オンラインで提供されているメリットを店舗にも取り入れること、すなわち「店舗でECを使うこと」とも言われている。店舗においてもレビューやQ&A、ハッシュタグといったUGCを活用する流れはもはや必然だろう。

OMO
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「ユーザーが店頭で目の前にある商品の情報を検索する行動は、もはや当たり前と言えます。その際、有用な情報として主に参照されるのがレビューです。つまり店頭で自社ECに誘導し、該当商品のレビューを見てもらうことは非常に重要と言えます。もちろん、自社ECに十分なレビュー情報を用意しておくことは欠かせません」(山崎氏)

 これは「来店客を他社ECに逃がさないための『ディフェンス』、購買の後押しやCX向上といった『オフェンス』の両サイドから求められる要件」だと山崎氏は強調する。要件を満たすには、店舗内でユーザーが商品のレビュー情報へ容易にアクセスできる環境を整えなくてはならない。その環境づくりに有効なツールとして、山崎氏は「インストアアプリ」を挙げた。

「インストアアプリは、ECアプリをベースに店舗でのコンシェルジュ機能を提供するものです。OMOが発展しているアメリカでは同アプリの活用が盛んです。普段はECアプリとして使いながら、店舗に行くと店内ガイドアプリとして利用できます。店内在庫情報・商品位置検索・タイムセール案内・店員呼び出しといった基本機能のほか、店頭商品の二次元コード読み取りなどによるレビュー情報表示にも対応しています」(山崎氏)

 日本でも今後、インストアアプリの導入・活用が進むと予想される。ZETAのOMO・DXソリューション「ZETA CLICK」にも、インストアアプリ機能の実装が進んでいる状況だ。

 ほかにも、店舗スタッフによる商品レコメンドや、スタッフ自身がモデルも兼ねたコーディネート提案などを発信する「スタッフコンテンツ」も注目されている。店舗発の情報がECにも展開されつつある現代は、まさにOMOらしいUGC活用が活発化していると言えるだろう。

UGC活用の拡大により、ECはコマースメディアへ

 UGCの活用が必須となりOMOも進む今、コマースは大きな変化の中にいる。

「従来のECは商品販売を主としていましたが、これからは多様なコンテンツを提供する『コマースメディア』としての機能がさらに拡大していくでしょう。ECには商品情報やレビュー、Q&Aはもちろん、店舗スタッフによる情報発信やコーディネート提案などのコンテンツもあり、それらUGCがソーシャルプルーフとして機能します。ユーザーはレビュアーとして参加することで、自身もコマースメディア内のコンテンツを生成する発信者となります」(山崎氏)

コマースメディア
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 メディアコンテンツとしてのUGCは、広告においてもその価値を発揮する。近年は3rd  Party Cookieの規制を背景にサイト内検索連動型広告が急成長しているが、検索結果にレビューを表示することで、コンバージョン率が最大17%向上するというアメリカの調査データもあるとのこと。

「こうした多様なUGCはハッシュタグにより有機的につながっていきます。その中心にあるのはやはりレビューです。今後はECのみならず店舗においても、レビューをはじめとしたUGCをおおいに活用できるようにしていきましょう」(山崎氏)

 なおZETAでは、セッションで取り上げたレビューやQ&A、ハッシュタグ活用のためのサービスを取り揃えている。

「レビュー・口コミ・Q&Aエンジン『ZETA VOICE』は、EC内にレビューコンテンツを実装できるソリューションで、アダストリアのモバイルアプリ『.st(ドットエスティ)』アーバンリサーチの自社EC『UR ONLINE STORE』などで活用されています。ZETA VOICEを利用したレビューの投稿数は日に日に増えており、平均して毎月12万件ほどのUGCが生成されています」(山崎氏)

 2022年7月に提供を開始したハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」は、ZETA VOICEとの連携でさらなる強みを発揮する。猛スピードで進化するコマースにおける同エンジンの有用性について、山崎氏は次のように語り、セッションを締めくくった。

「ZETA VOICEで投稿されたレビューなどを解析し、商品にまつわるキーワードを抽出。それをハッシュタグ化して商品やレビューへ付与することができます。生成したハッシュタグを組み合わせ、ランディングページを自動生成する機能も備えており、ランディングページには商品のレビューなども表示可能です。GoogleはUGCなどのオーガニックコンテンツを重視して評価する傾向があるため、ZETA HASHTAGはユーザーとのエンゲージメントおよびSEO対策に有効と言えます」(山崎氏)

▼ZETAが提供するECマーケティング・リテールDXを支援するソリューション「ZETA CXシリーズ」の資料は、資料ダウンロードページよりダウンロードいただけます。

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この記事の著者

萩原 敬生(ハギワラ タカオ)

ライター。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/11 13:00 https://markezine.jp/article/detail/40895