マス向けのメタバースを目指して構築された「REV WORLDS」
2021年にリリースされた「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」は、新宿をモデルとした仮想都市とそこに設置されている伊勢丹をはじめとした仮想店舗を体験できる、モバイル向けのメタバースアプリだ。iOS・Androidの双方で展開している。
「できる限り多くのユーザー様に、気軽に参加していただきたいという想いがありました。そのため、旧来のメタバースでイメージされるような、ハイスペックなゲーミングPCでないと利用できない空間ではなく、隙間時間を利用してスマートフォンから気軽にアクセスしていただく利用シーンを想定し、モバイルアプリの形式を選択しました」(河田氏)
2015年に入社して以降、6年間伊勢丹新宿店の販売・仕入れを担当した河田氏は、2021年からREV WORLDSのコンテンツデザインを担当。独学で技術を学びながら開発に携わっている。店舗での経験を活かし、対面だからこそ実現できる接客体験をメタバースでも提供するため、様々な仕組みを実装した。
REV WORLDSの機能は大きくは以下の4つに分けられる。
- 購買体験
- 体験の共有
- マイルーム機能
- デジタルウェア
ECにはない「体験」を。想定よりも広い年齢層が利用
1点目の「購買体験」については、アプリ内で展示されている商品をクリックすると詳細情報が出現し、そのままECサイトに遷移して購入できる機能だ。
ECサイトと異なるのは、思わぬ出会いが生まれる点にある。一般的なECサイトの場合、目当ての商品にできる限り簡単に、早くたどり着けるよう設計されている。REV WORLDSの場合、仮想店舗内を散策している途中で見つけた商品に興味を惹かれ、購入に至るなど、デジタル上での店舗回遊が期待できる。
2点目の「体験の共有」は、メタバース内でのライブ鑑賞やイベント参加を楽しめる機能を指す。ストリーミング配信と異なり、メタバースであれば自分のアバターを動かせるため、よりリアルなライブ会場に近い、距離感の近いコミュニケーションが可能だ。ボイスチャットも実装されており、気軽に参加者同士で交流できる。
3点目のマイルーム機能は、自身のマイルームに好みの家具を配置して自由にレイアウトし、友達を招待できるものだ。仮想店舗で購入した家具も配置できる。
4点目のデジタルウェアについては、現在約950点以上が提供されており、実際に販売されている洋服がアバター向けに展開されているパターンと、REV WORLDSオリジナルのウェアが展開されているパターンの2種類ある。アプリ内のポイントで交換可能だ。
他ユーザーが着用しているデジタルウェアが気になったら、すぐに対象ユーザーのウェア情報を閲覧して購入できるという導線も設計されている。アバターが広告塔となって購入を促進する、メタバース内でのインフルエンサーマーケティングも期待できる。
2021年に開始したばかりのREV WORLDSだが、利用者層は徐々に拡大している。
利用者の居住地を見ると、やはり関東の一都三県で65%を占めているが、それ以外は47都道府県に満遍なくユーザーが点在しているという。
男女比では、女性が4割を占める。一般的なメタバースは男性が8割を超えていることが多いが、REV WORLDSは例外だ。主な年齢層は30~40代。河田氏はじめ、REV WORLDSチームは10代〜20代のユーザーを想定していたため、利用者データを見て驚いたという。70~80代の利用者も一定数存在し、百貨店という幅広い顧客層の基盤を持っているからこそ独自のユーザー層を築いているといえる。