6:流行している商材を調査する
それでは、上述した施策を展開するにあたって、ソーシャルリスニングツールを使ってトレンドの調査を行います。
過去3年間の頻出関連語から、「BBクリーム」という商材のUGCが増加していることに注目しました。
メンズコスメのBBクリームに関するUGC数を追うと、過去3年で成長傾向がありました。メンズ用のBBクリームには、一定の需要があると考えられます。
また、実際のUGCの中身を見ていくと、男性のユーザーからBBクリームを使った感想や悩みに関する言及が、過去3年間で徐々に増えていることがわかりました。
上記は「ベースメイク系の商材を訴求する」という戦略とも関連するデータです。調査による裏付けによって「BBクリームを軸に施策を展開する」といった方針まで立てることができます。
7:インフルエンサーを調査する
「インフルエンサーを起用し、自社商品の理解を促進する」という施策を展開するには、次のような手法が考えられます。
- 人気の芸能人を起用する
- 日々、メンズコスメに関して発信している人を起用する
後者の「日々メンズコスメに関して発信している人」で、特に影響力があるユーザーを見極めることは難しいものです。しかし、ソーシャルリスニングツールを有効活用すれば、施策とマッチするインフルエンサーをより効率的に調査できます。
今回は、「共感されるUGCを発信している=影響力がある」と仮定し、リツイートされた回数の多いUGCを見ていくことで、メンズコスメと関わりの深いインフルエンサーを探しました。
その結果、以下のようなユーザーを見つけられました。
- 日々メンズコスメについて発信している男性ユーザーで、一定数のフォロワーを抱えている
- 日々コスメについて発信している女性ユーザーで、メンズコスメに関しても言及しており、一定数のフォロワーを抱えている
- 一定数のフォロワーを抱えたユーザーで、メンズコスメに関して発言をした際に共感が多く集まった
今回の施策の目的は、インフルエンサーの起用によって商材理解を深めることです。
そのため「メンズコスメに関して、具体的な言及をしたことがあるユーザー」を絞り込むことで、より自社のブランドイメージや戦略、施策にマッチングしたインフルエンサーをピックアップすることができます。
さらに高度な手法としては、ユーザーネットワークを解析してインフルエンサーを選定する方法もあります。
まとめ:SNS分析はマーケティングの意思決定に貢献する
今回ご紹介した通り、施策を実施するために必要な一連の市場調査は、SNS分析を通じて行うことができます。
調査に必要なサンプル数の観点でいえば、モニターに依頼して数を確保することが前提のアンケート調査とは違い、UGCが一定数あるかを確認しなければなりません。しかし、ユーザーの生の声であるUGCはリアルな市場を知ることに役立ちます。これらのデータは、様々な意思決定の根拠として活用することができるでしょう。
また、ソーシャルリスニングは施策の効果測定にも役立ちます。施策を実施する以上、やりっぱなしで終わりにすることは避けるべきです。テレビCMなどのマスメディアの反響についても、UGCから検証することで次の施策に活かす示唆を得ることが可能です。
連載第1回でも述べたように、データ分析は「限られた人にしかできない、とっつきにくくて難しいもの」ではありません。データは誰でも手に取ることができる、実は身近なものです。
本連載を通じて、マーケターの皆さまの分析に対するハードルを少しでも下げることができれば、嬉しく思います。
