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ミツカン事例に学ぶ、指名検索数をKPIにテレビCMを改善するメリット

 スマートフォンが普及したことでマルチスクリーン化が当たり前となり、テレビCMを取り囲む環境は大きく変化している。そういった状況で「現代のテレビCMの効果指標として見るべきは“指名検索数”だ」と話すのは、テレビCMの指名検索数を独自の技術で計測できる「ノバセル トレンド」を提供するノバセルの内海航氏。本記事では、テレビCMの効果改善につながるPDCAの回し方について、内海氏とノバセル トレンドをいち早く導入し活用しているMizkanの利井瞳氏に話を聞いた。

求められるテレビCMの高速PDCA

MZ:MizkanはテレビCM効果を可視化するツール「ノバセル トレンド」を導入していると聞いています。なぜ導入に至ったのでしょうか。

株式会社Mizkan マーケティング本部 コミュニケーション戦略部 コミュニケーションチーム 利井 瞳(かがい・ひとみ)氏
株式会社Mizkan マーケティング本部 コミュニケーション戦略部 コミュニケーションチーム
利井 瞳(かがい・ひとみ)氏

利井:ノバセル トレンドの導入背景には、過去のコミュニケーションの振り返りに対する課題、そして昨今のマルチスクリーン化への対応がありました。

 前者に関しては、これまでテレビCMを出稿した後にパネル調査を行い、テレビCMの視聴度や好意度、商品の購入意向を計測していました。しかし、結果が出るまでに数週間かかることが多く、変化が激しい今の時代に合っていないのでは、という思いがあり、違う振り返り方を模索していました。

 後者は、スマートフォンを手元に持ちながらテレビを見ているなどマルチスクリーンの状態が一般化しています。そうした場合、テレビCMは今までと同じ『見ている前提で、伝える』ではなく、『見てもらうための努力をする』必要があると考えました。

 また、手元にスマートフォンがあるということは、気になればすぐに検索できるという状態でもあります。検索してくださる方はより詳しい情報を知りたいと思っており、購買に至る可能性も高いと考えられます。

 これらの背景から、テレビCMの効果測定指標に指名検索数が適しているのではないかと考えるようになり、テレビCMの効果測定ツールを検討した結果、タイムリーに指名検索数をチェックできるノバセル トレンドの導入に至りました。

自社・競合含めたテレビCMの指名検索数をタイムリーに可視化

MZ:では、Mizkanが導入したノバセル トレンドとはどのようなツールなのでしょうか。

内海:ノバセル トレンドは自社・競合を含め、世の中に放映されているあらゆるテレビCMの指名検索数を計測できるツールです。計測には、検索データとノバセルが特許を取得した分析手法を活用しています。

 これにより、テレビCMによってどれだけ検索につながったかがわかる「瞬間指名検索数」を可視化でき、さらにブランドや出稿枠、クリエイティブごとに比較することが可能です。様々な視点で指名検索数の変化を把握できるため、テレビCM におけるPDCAを高速で回せるようになります。

 また、ツールの提供のみにとどまらず、クリエイティブの効果や放映時間による指名検索の結果から得られる最適な施策や、競合会社さんの検索スコアの高いクリエイティブや放映枠を分析したレポートを提供させていただいています。

 指名検索数は、グループ会社のラクスルがテレビCMを活用して事業を伸ばしていく際にも認知から行動までの態度変容を見るKPIとして位置付けていました。ノバセル トレンドは、ラクスルのビジネス拡大で培われてきたノウハウを存分に詰め込んでいます。

 また、昨今のサードパーティCookieの規制や個人情報関連の法律改正の影響もあり、リターゲティング広告などデジタル広告の効果を支えてきたものの利用が難しくなっていくことが考えられます。そうなった際に、指名で検索してもらえる存在であることは重要だと考えています。

Mizkanが進めるテレビCMのPDCAとは?

MZ:導入においてはどういったやりとりがあったのでしょうか?

内海:導入前にはまずミツカンさんの商品カテゴリーを一つピックアップし、競合とのスコアの差や課題についてのレポートを作成し、提案させていただきました。

ノバセル株式会社 ビジネスプランニング部 内海 航(うちうみ・わたる)氏
ノバセル株式会社 ビジネスプランニング部
内海 航(うちうみ・わたる)氏

利井:導入前にレポートを作ってくださったのは、導入の後押しになりました。施策のスコアは数字でしかなく、それの良し悪しを見るだけでは改善につながりません。ノバセルさんのレポートでは、なぜそのような数字になったのかという仮説、改善すべきことまで伝えていただけるので、自分たちがノバセル トレンドで数字を見るときの参考にもなりました。

MZ:導入後はどのように運用しているのでしょうか?

利井:私たちコミュニケーション戦略部のメンバーだけでなく、それぞれのブランドのマーケティング担当にも閲覧権限を付与していただき、各ブランドがスピード感を持って運用できる環境を整えました。

 また導入にあたっては、私たちから各ブランドの担当者へ「ノバセル トレンドをなぜ導入するのか、どういった使い方をすればいいのか」伝える機会を設けました。そうすることで、積極的な活用を促し、活用の仕方を明確にしています。

 その他にも、テレビCMの制作に関わる広告代理店のクリエイターの方にも、ノバセル トレンドを導入していること、そこから得られた知見をお伝えするようにしています。クリエイターさんは広告制作のプロなので、私たちでは思い付かないミツカンらしさを表現するクリエイティブを作ってくださいます。クリエイターさんのアイデアとノバセル トレンドのデータを上手く掛け合わせたいので、議論する場を設けています。

過去と比較にならない高速PDCAを実現

MZ:結果はいかがでしたか?

利井:クリエイティブを出稿してからすぐに指名検索数の変化が閲覧できるので、クリエイティブの差し替えや出稿ボリュームの調整などが素早く行えるようになりました。

 これまでの場合、出稿後の効果を見るパネル調査を行ってから結果が得られるまで、3週間ほど必要でした。そこから調査結果をもとに振り返りを行い、次のアクションを判断するのが半年後というケースもありました。ノバセル トレンドの導入後は、クリエイティブの出稿から振り返り、改善までの期間が圧倒的に短縮されています。

 また、各ブランドの担当が閲覧できるようにしたことで、それぞれのブランドが主体的に分析し、新しい知見が得られています。得られた知見は、経営陣を含めて共有されているため、次のアクションにもすぐつながる体制になっています。

MZ:具体的にPDCAが高速になったことで、数字が改善した事例はありますか。

利井:たとえば、過去クリエイティブとの比較から得られた仮説をもとに、テレビCMで使用しているCIの位置をトップとラストそれぞれに配置して実際に放映し検証しました。結果としてCIの位置を変えることによって数字に違いが生まれました。まだ継続した検証が必要だと考えていますが、このように検証による数字の変化がすぐ見られるようになったのはありがたいです。

分析ツールの活用で欠かせないのはスピード感

MZ:今回の取り組みで得られた学びや気づきがあれば教えてください。

利井:ノバセルさんにはノバセル トレンドの提供だけでなく、半期に一度レポートを提出いただき、利用している中で気になることがあれば電話でのサポートもしていただいています。

 その中で感じたのは、指名検索数の変化を見るだけでなく、変化によって得られた知見を活用することの重要性です。そのことを他のメンバーにも理解してもらえるよう、今は社内レクチャーに力を入れています。

 また、クリエイティブに関わる広告代理店のクリエイターさんともコミュニケーションを交わしていき、企画の段階からノバセル トレンドで得られた数字を最大限活用していきたいと思っています。

MZ:ノバセルさんはいかがでしょうか?

内海:Mizkanさんでは、自社・競合含めた20のブランドでノバセル トレンドを活用いただいています。また、半期に一度のタイミングで、競合との比較や各テレビCMの良かった点や課題点などを分析したレポートをもとに、改善のご提案もしています。

 この20ブランドという規模で導入いただいているお客様はまだ少ないので、我々としてもMizkan様から様々なことを学ばせていただいています。特にMizkanさんはノバセル トレンドで得られた結果から次のアクションを起こすまでのスピードが速く、効果的に活用していただいています。今回の取り組みでは、スピード感を持って改善いただける企業とノバセル トレンドの相性の良さを実感できました。

ノバセル トレンドとMizkanのこれから

MZ:今後の展望について教えてください。

利井:まずは、社内にツールが浸透するよう啓もう活動を引き続き進めていき、ツールを最大限活用していきたいです。

 同時に、競合ブランド以外のテレビCMも見てあらゆる知識をインプットしていきたいと思っています。そうすることでコミュニケーション戦略部が伝えることに関する知識・ノウハウを身につけ、各ブランドのマーケティング担当者に共有できるようにしていきたいです。

MZ:ノバセルさんはいかがでしょう?

内海:ノバセル トレンドは2022年の4月にローンチしたばかりの分析サービスです。今後はMizkanさんをはじめとした利用企業様の声を拾っていき、ツールやレポートのアップデートに取り組んでまいります。

 実際お客様の声を受け、UI、UXの改善はもちろん、お客様の事業にどれくらい効果があったかをより多角的な観点から可視化、分析できるようなアップデートを今後も行っていく方針です。

本記事で載せきれなった、ミツカン×ノバセルの事例をセミナーで紹介!

3月30日(木)14時から15時まで、ノバセルが「CM効果は何で測る?過去CMの分析から見えた気づきとは?~ミツカンが実践する最新のテレビCM費用最適化~」と題したセミナーを開催します。テレビCMを放映しているが効果が伸び悩んでいる・そもそも効果を定量的に可視化できていないという課題をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/16 11:00 https://markezine.jp/article/detail/41533