リアルで親近感のあるコミュニケーションが鍵
──利用者の行動は動画中心・検索や購買での利用など変容している中で、企業はInstagram=「話題を作る場所」という認識がまだ強い気がします。利用者と企業とのギャップに対して、企業側が認識を改めたほうがよい点をうかがえますか。
Instagramは、おしゃれで、映える写真だけが集まっているイメージがありますよね。実は、それはもう古いイメージです。現在の利用者、特に若年層は、作り込まれていない日常の投稿を好みます。ビジネスの発信であっても映えのハードルを感じる必要はなく、むしろ親近感のあるコミュニケーションが重要です。ここが企業様の認識にギャップがあるところですね。
もう1つお伝えしたいのが、Instagram本来の強みです。Instagramの投稿は利用者ごとの興味関心に合わせて表示され、それを保存ボタンでセーブして店頭に持っていったり、ショップ機能でそのまま購入したりと、出会いの次のアクションも取りやすい、自分ごと化につながりやすい仕組みがあります。
Instagramがビジネスに提供できる価値は、主に3つ。「新しい商品との偶発的な出会いを作ること」「クリエイターなどの第三者やコミュニティから共感を生み出すこと」、そしてストーリーズやリール、フィードといった「多面的に機能を活かして表現できること」です。この視点でInstagramを活用いただくとよいと思います。

「好き、欲しい、買う」をシームレスにつなぐ
──SNSと購買行動は切り離せないものになっています。Instagramは購買行動の中でどのような役割を担っていますか? また、他のSNSと異なる特性があれば教えてください。
Instagramは、フルファネルアプローチができるプラットフォームで、認知から購入のアクションまでシームレスに一気通貫できます。


この役割を確立したのは、2018年6月に「商品タグ」機能を導入したことが大きなきっかけでした。写真に商品名や価格のタグが表示され、押すとそのまま商品ページに飛ぶことができます。さらに2020年6月には「ショップ機能」を導入し、誰でも無料でオンラインショップを作れるようになりました。この機能はD2Cをはじめ様々な企業様にご利用いただいています。「Instagramで販売チャネルを1つ増やせる」点は、リアル店舗を持つ企業様にも好評です。
他にはないInstagramの特徴は2つあります。1つは「発見型コマース」と呼ばれる新しい購買体験です。従来のオンラインの購買体験はECサイトで検索するステップがあるため、消費者が頭の中に思い浮かぶ商品しか買えませんでした。Instagramが提供する発見型コマースであれば、アルゴリズムによって利用者が好みそうなものが表示されるので、本来買い物リストになかった商品に出会う機会が生まれるのです。言うなれば「商品が顧客を見つける」仕組みです。これはMetaが持つビッグデータによって実現できるものです。
もう1つの特徴は、タッチポイントを増やせること。Instagramの場合、フィードやストーリーズなど豊富な機能で多面的な投稿ができます。利用者が商品やブランドの新しい情報を日常的に見つけられるのはInstagramの特徴です。
──商品との偶然の出会いはリアル店舗の強みですが、「商品が顧客を見つける」というのはさらに一歩進んだ購買体験ですね。
日本では検索も活性化しているので、利用者が自らタグ検索して商品を見つけにいくこともあります。すると後日それに関連する商品がタイムラインでお勧めされる。2つの方向から新しい出会いが生まれるのが画期的です。 Instagramを通した商品の発見が当たり前になっているので、ビジネスにとってマストの販売チャネルと言っても過言ではないでしょう。
──ちなみにアルゴリズムにおいては、どのようにプライバシーを守りつつインサイトを把握されているのでしょうか?
利用者と企業の安心安全を保つことは最重要案件です。パーソナライゼーションとデータのプライバシー保護の両立を前提としてプロダクトを開発しています。いかに安全を保ちつつデータを活用するかは多くの企業様の課題ですので、それを率先して解決し、ビジネスと利用者の双方にとって価値がある体験を提供するためにテストを続けています。