サードパーティCookie廃止に向けた対応、未だ進まず
有園:Appleは既にウェブブラウザ「Safari」でサードパーティCookieを完全に廃止し、最大シェアのGoogle「Chrome」でも段階的な廃止が決まっています。Googleの対応は何度も延期になっていますが、これまでのインターネット広告にはサードパーティから得たデータが活用されてきたため、Chromeでの対応によって大きなパラダイムシフトが起こるでしょう。廃止後は、代替手段としてIDソリューションが重要になると思います。ところが、業界全体を見ると、まだまだ盛り上がりが足りません。
そんな課題感を誰にぶつけようかと考えたときに、田中さんが思い浮かびました。DACは、確定データIDをベースとしたデータエクスチェンジ環境を提供する「LiveRampソリューション」をはじめとして、ポストCookie時代に向けた解決策を既に提案されています。DACのような立ち位置のプレーヤーが課題感をもって推進することが必要です。
田中:元々DACは、デジタル広告のメディア取次業、いわゆるメディアレップとして成長してきました。しかし今は、単なるレップからは脱却し、データコンサルティング企業として、企業のデータビジネス全般を支援する企業に変革しています。
このような背景から、IDソリューションには初期段階から関わってきました。Cookie規制などによって生活者とのデジタル接点が見えづらくなる中、今後対応が必要になる課題を社内でまとめ、サービスに反映させています。
DX支援の背景にある、データ活用人材の育成
有園:御社が作成した資料を見ると、広告主とパブリッシャー、それぞれの企業課題とそれに対応するソリューションや支援方法がまとめられています。
田中:たとえば、顧客データや媒体データの取得や蓄積、分析には、CDP(Customer Data Platform)が必要になりますし、データ利用の同意取得のためにはCMP(Consent Management Platform、同意管理プラットフォーム)を導入します。また、データを複数のサービス間で連携させ、広告配信に活用するためには、共通ID化のソリューションが必要です。そして、Cookie規制下でデータ分析してターゲティングするには、データクリーンルームなどが有効です。
そこでDACに何ができるか。各企業が持っているものともっていないものを見極めて、最適なソリューションやサービスを提供するために重視しているのが「人材」です。主要ベンダーのソリューションに精通した人材によるコンサルティングや、業務委託などによるデータ人材の提供も行っています。
また、人材育成支援にも取り組んでいます。私たちの業界は人材流動性が高く、人の入れ替わりが激しいため、当社では教育に力を入れてきました。データ活用の社内研修では、年間100人ほどが約3ヵ月間のカリキュラムを受講し、SQLを使いこなすデータサイエンティストにスキルアップしています。そういったノウハウを生かして外部向けのオンライン講座を制作し、教育ソリューションとして販売しています。
有園:デジタルマーケティングに関するデータ活用において、企業が悩む問題はすべて解決できる、ということですね。
田中:データを集めるだけではビジネスになりません。企業がデータを何に使うのか。マーケティングに使うのであれば、DACに任せてもらえたら最適なリソースやソリューションを提供できます。その中でも特に得意なのが広告ですね。