観察から始める新フレームワーク「OODA」
──KPIの見直しに有効なフレームワークはありますか?
よく使われる改善フレームワークにお馴染みのPDCAがあります。PDCAは、計画と現実の差分を継続的に縮める上でとても優れたアプローチですが、私の経験上最初の「P(Plan)」が最も難しく、ボトルネックになりがちなステップです。プランは情報や仮説なしに立てられません。アプリグロースを取り巻く環境下では、情報収集や仮説立てに時間を割いている間に前提が変わってしまうこともあります。
そこで私が推奨しているのが「OODA(ウーダ)※」というフレームワークです。Observe(観察)→Orient(方向づけ)→Decide(意思決定)→Act(行動)の順に進めていきます。OODAの特徴は、状況が常に変わることを前提にしている点です。今を捉える観察から始め、観察した実態と現状の差分に注目して打ち手を考えていきます。
※1970年代にアメリカ空軍の戦闘機パイロットであったジョン・ボイドの提唱した空軍戦術が発祥とされている。OODAループによって素早い意思決定が可能となり、戦況を優位に進められた戦術が注目を集め、のちにビジネスや教育、スポーツ分野などでも応用されるようになった
KARTE for AppではOODAに沿ったKPIの改善が可能です。たとえば、お気に入り登録をしたユーザーの継続率が高いとわかった場合、改善KPIは「継続率」に、キーアクションは「お気に入り登録」になります。ネクストステップとして、お気に入り登録をしているユーザーとしていないユーザーのグループそれぞれでユーザー行動の傾向をリサーチしていきます(観察)。
もし両者が閲覧している商品数には差分がないとわかった場合、お気に入り登録をしていないユーザーがそもそもお気に入り機能に気付いていない可能性が考えられます(方向づけ)。機能に気付いてもらうための施策として、お気に入り登録をしたことがないユーザーが商品詳細ページを訪れた際に、お気に入り機能を紹介するポップアップを表示することにします(意思決定)。そしてこの施策をKARTEで設定し、配信します(行動)。これら一連のOODAの過程をKARTE for Appの画面上で完結することができるのです。
アプリグロースのヒントはユーザー理解にあり
──Observe(観察)のポイントがあれば教えてください。
一人ひとりのユーザーを細かく観察する前に、グルーピングをすることが大切です。個人単位で見ると雑多すぎて傾向がうまく見出せないため、グループ単位で大まかな傾向を把握してから個人を見るほうが仮説を深めやすいと思います。
KARTE for App上では「累計購入金額が●円以上の人」「このジャンルの商品をお気に入り登録している人」などのグループをつくることができますし、すべての計測ユーザーを対象にしたn1分析が可能です。セグメントごとに観察してからn1を見て改善のヒントを探ってみてください。
──ここまで、アプリグロースのポイントをたっぷりうかがってきました。最後に矢ノ目さんから読者に向けてメッセージをお願いします。また、KARTE for Appにおいて今後チャレンジしたいこともあわせてお聞かせください。
当社に問い合わせをしてくださる方々の興味がリテンションという結果指標から顧客理解に移りつつあり、ユーザー理解を踏まえた本質的なアプローチを重視する風潮が高まっているように思います。そして、アプリグロースのヒントはまさにユーザー理解にあるはずです。KARTE for Appはユーザーを深く知るための機能性を備えたプロダクトですから、より顧客中心で本質的なアプローチを望む企業のご担当者様を今後サポートできると思います。
アプリのネイティブの要素を充実させようとすると、開発の難易度や負担はやはり上がってしまいます。しかしながら、ユーザーファーストでリッチな機能や体験を実現するプロダクトも増えているため、KARTE for Appでも幅広い機能をカバーしたいと考えています。
モバイルアプリの市場競争は激化し、ユーザーが求めるモバイルアプリ体験の水準がますます高まる昨今。世のアプリデベロッパーの皆様がアプリの本質的価値の磨きこみに集中し、成果を上げるための支援をKARTE for Appで実現していきたいです。皆様と一緒に、世の中にイケているアプリをさらに増やしたいと考えています。
アプリエンゲージメントに有効な五つのアプローチ
競争が激化するアプリ市場で「そのアプリを使い続けたい」という愛着(エンゲージメント)を育てるために有効な五つのアプローチをご紹介します。
資料のダウンロードはKARTEのサイトから