ビューアビリティとアテンションの違いとは?
アテンションの注目度が高まる前から、広告が見られているか見られていないかを見る動きは進んでいた。たとえば、ビューアビリティは広告の視認性を測る指標として使われてきた。しかし今村氏によると「ビューアビリティとアテンションは違う指標であることを認識しなければならない」と話す。
「広告を購買につなげるには、表示されているかどうかを測るビューアビリティでは不十分で、広告が見られているかというアテンションを見る必要があります。実際、アテンションをベースに広告配信をした場合は、ビューアビリティをベースにした場合よりもパフォーマンスが高いことがわかっています」(今村氏)
加えてグラント氏は「結果的に広告の無駄撃ちを減らしたり、浮いた費用を用いて他のメディアに出稿したりできるようになり、より効率的に事業を成長させられるようになる」とアテンションを取り入れるメリットを話した。
今村氏はここで、海外の調査において判明しているアテンションを高める4つの要因を紹介した。
「1つ目の要因は視聴可能時間です。広告は表示時間が長いほどアテンションが高くなっていくため、トータルでどれだけの時間、画面に表示されていたかが重要になります。2つ目は選択。ユーザーが能動的に選択して見ているかどうかで、アテンションの度合いが変わってきます。3つ目の要因はクリエイティブで、有名なタレントの起用や秀逸なクリエイティブはアテンションを得る上で大きなパワーを持ちます。そして4つ目は関連性です。消費しているコンテンツに関連した広告のほうがアテンションも高まります」(今村氏)
新免氏は、4つの要因と自社のマーケティングを照らし合わせながら「コンテキストや関連性を意識した広告を配信し、消費者に寄り添ったクリエイティブを作っていきたい」と話した。
アテンションベースの広告配信ができる未来が到来する
セッションの後半、電通のグラント氏が中心となって行う検証プロジェクトについて紹介があった。このプロジェクトにはTeadsも協力しているという。
「このプロジェクトでは、メディアプランの無駄を最小限に抑え、最大限の効果を生み出すこと。そのための検証を始めました」(グラント氏)
電通の調査では、テレビの視聴率は2005年の23.5%から2019年に18.6%まで低下したことがわかっている。この背景には、YouTubeやTikTok、Netflixなどの各種動画配信サービスの台頭があるという。
テレビの視聴率低下分の広告効果をどう取り戻すか。今回の検証では、電通が3年以上かけて培ったアテンションに関する知見を活用。テレビとオンライン動画を視聴するモバイルメディアとのアテンションの比較や、同時視聴の場合の優先度、オンライン動画広告におけるアテンションを決定づける要因の探求など、様々な検証を行ったという。
その結果、いくつかの示唆が見えてきた。本記事ではその中から注目すべきものを紹介する。
ビューアビリティ=アテンションではない
テレビCM、ディスプレイ広告、動画広告のビューアビリティとアテンションを検証したところ、テレビCMのビューアビリティは70%を超える一方、アテンションは35%~43%(広告の秒数によって変化)となった。また、ディスプレイ広告や動画広告もビューアビリティが高くてもアテンションが高くない媒体が存在した。その一方で、Teadsのディスプレイ広告(in-Article)では69%とディスプレイの中では最大値、動画広告ではTeadsのフォーマット(in-Article)は47%〜74%ものアテンションを得られていることがわかった。 *Teadsの動画広告は強制視聴型ではない。
チャネル×フォーマットでアテンションのレベルが異なる
グラント氏のプロジェクトでは、ディスプレイ広告と動画広告を対象に、あらゆるフォーマットとチャネルでアテンションを検証していく。結果として、組み合わせ次第でアテンションの結果が異なることがわかり、クリエイティブ検証の重要性の高さも浮き彫りになっているという。
注目度=有効性で置き換える
そして、これらの検証を通じて、アテンション、広告視聴時間、ブランドリフトの有効性で測っていくことが重要であることがわかったという。電通ではデータ収集を通じて、これらの検証を様々なプラットフォームやフォーマットで比較できるようにしていくそうだ。
このプロジェクトは国内の有数のブランド・メディアが集い、9月より新たな検証を行い、その結果をホワイトペーパーとして公表するとともに、来年以降電通社内にてツール化をしていくという。最後に今村氏は今後の展望を語りセッションを終えた。
「アテンションをベースにしたメディアプランニングが近い将来可能になるということをお伝えできたと思いますし、これをベースにTeadsの広告のアテンション効果の高さを実証できるようになるということを楽しみにしております」(今村氏)