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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

イベントレポート

資さんうどんとグッデイに学ぶ ファンを生み出すブランドコミュニケーション

目指すは「体験を買う場所」 必要なのはブランドイメージの理解

 このようにDXによる顧客分析を進める同社だが、それでも柳瀬氏は「強みは現場の店舗にある」と語る

 柳瀬氏は入社以前、グッデイが抱える課題として「専門職の方が来るお店」というブランドイメージが強く、「何を売っているお店なのか」が地域住民に理解されていないことだと感じていた。しかし、入社後、実際に店舗で接客する中で、自社の強みに気づき、会社の進むべき道が見えてきたという。

 「専門職の人よりも、ご自宅向けに様々な用途の商品を買い求める『一般のお客さま』が多いのがグッデイの特徴でした。そして豊富な知識でお客さまへの接客対応をする店舗従業員が、差別化ポイントとして大きな強みとなっていました」(柳瀬氏)

 それを踏まえ、DIYをしたい層への価値訴求を強化するため、2009年から放送しているテレビCM「グッデイならできる♪」のローンチを主導した。

 加えて、困ったらグッデイにいけば何かあるんじゃないか、グッデイにいけばアイデアが広がり自分の思いが形にできるというイメージを醸成することにも力を入れた。これは、対応力の強い店舗にまずは足を運んでもらうことで、良質な顧客体験を重ねてもらう狙いがあったと柳瀬氏は語る。

 現在でも同社は、このブランドメッセージの体現に向けて、各店舗ではワークショップイベントや実演会、体験会を頻繁に開催している。そうして、モノを買う場所ではなく体験の場として来店してもらうことで、顧客とのつながりをさらに強化している。

「できる」体験を作る 地域住民と向き合った事業戦略

 このようなワークショップを開催する背景には、モノづくりの体験は一生残るという柳瀬氏の想いから来ている。

 幼少期に「できる」を体験することの重要さを、自ら身をもって体験したことがある柳瀬氏は、NPO法人CANVASとともに子どものためのワークショップ博覧会「ワークショップコレクション」を主催。地域企業と連携して様々な学びと体験機会を提供している。2023年3月開催では32,000人超の家族連れが訪れた。

 加えて同社は、事業会社として存在する社会的意義を考え、社会課題でもある「地域の空き家」を買い取ってのリフォームプロジェクトにも取り組んでいる。このプロジェクトを行うことで、地域住民が抱える問題やニーズの把握、さらには、DIYの経験が浅い若手社員の育成プログラムとしても機能していると柳瀬氏は語る。

 一貫した店舗体験の設計や顧客の声に耳を傾ける「資さんうどん」と、データを活用することで顧客が抱えるニーズに迫る「グッデイ」。2社の顧客に向き合う姿勢は異なるものの、顧客理解をビジネスに取り入れることで成長してきた過程から学べることは多いだろう。

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この記事の著者

坂本 生民(サカモト イクミ)

株式会社ヌーラボ コミュニケーション部 部長

外資系人材サービス日本法人の広報・マーケティング担当、日系自動車メーカーのグローバル広報での勤務を経て2021年10月にヌーラボに入社。ヌーラボおよびヌーラボサービスに関する広報活動、社内広報管轄。ヌーラボ入社と共に福岡に移住、2児の育児に奮闘中。青山学院大学国際マ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/08/29 08:30 https://markezine.jp/article/detail/42974

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