ライトオン、学研プラス、GMOサイン…実績から見る対応の幅広さ
――何を作りたいかではなく、どうしたいかからビジネスを始めているのですね。具体的に、定性・定量で成果をご紹介いただける事例はありますか?
数字が取れている範囲であれば、当社が支援に携わったすべての事例で結果が出ています。その中でいくつかピックアップしてお伝えします。
ライトオンのOMO戦略に参画、自社のEC比率を20%→60%に向上
まずアパレルのライトオン様の事例では、4年ほど伴走し、自社のEC比率を20%から60%まで向上させました。本件は、ジーンズを中心としたアメリカンカジュアルのセレクトショップを目指すため、改めてライトオンらしさとは何かを問い直したプロジェクトです。
ユーザーに商品の価値を適切に届け、さらなる事業拡大を目指そうと、ライトオンのECショップとしてのあり方を再定義しながら、サイトのリニューアルを実施。他にもオンラインとオフラインの垣根をなくす戦略としてのアプリ開発など、幅広く支援しました。
学研プラスのデザインリニューアルで送客率を351%改善
学研プラス様の教材購入のECサービス「イエベン」のUXUIデザインリニューアルでは、サービス全体の送客率を351%改善しました。
データ分析による定量分析と定性アプローチでの深堀りで課題を抽出。ユーザー体験やコンテンツを設計し直し、複雑化していたコンバージョンへの導線を整理しデザインへ反映しています。またリニューアルのプロセスでは、ユーザーの解像度を上げることで、プロジェクトチームでの認識を合わせたり議論の活性化にも寄与しています。
GMOサインのリニューアルで、全KPIを向上
GMOグローバルサイン・ホールディングス様が展開されている電子契約サービスGMOサインでは、約1年にわたりUXUIデザインを担当、リニューアルに携わりました。追っていた指標はすべて向上したと聞いています。
同サービスは、私たちが支援に携わるようになった頃は既に多くのユーザー数を抱えていましたが、コロナ禍でたくさんの方に注目される中で「もっと誰もが使いやすいサービスに」を実現されようとしていました。そこで事業方針の整理から市場リサーチ、ユーザーインタビュー、体験設計を支援しました。
プレイヤーが頑張っても、分断があれば事業は成長しない
――御社は幅広い支援を提供されていることがわかりました。なぜ、このような支援を行っているのですか?
そうしなければ企業の成長と事業価値の向上は実現できないからです。
当社がこの体制になったきっかけは、ある企業様のプロジェクトに参加したことでした。複数社が携わっており当社はインターフェースの担当でしたが、「SEOを上げたいからインターフェースをこう変えてほしい」と言われ、強い違和感を覚えたんです。
この要望はSEOを上げCACを下げたいというニーズから生まれたものです。ただすべてがそうではないものの、SEOに最適化したインターフェースは時にユーザーの体験を阻害する場合もある。つまりLTVを下げかねない。CACを改善したいからLTVを下げてくれという要望にもなりかねないのです。なぜこうした要望が生まれるかというと、LTVとCACを管理する部署が異なり、それぞれの観点からレビューが入るからです。つまり互いに自分の担当領域のことしか考えられていないことに気付きました。
本来、ビジネス全体ではCACを下げてLTVを上げることを目指すべきですが、このように担当部門が異なると分断が起こり、構造がおかしくなってしまうのです。プレイヤーたちは皆、各部門で設定された目標を達成するために頑張っているにもかかわらず、結果が出ない状況に陥ります。そして、私が見渡す限り国内ではこの構造が少なくありません。
では海外はどうなっているのだろう?と、デザインスタジオを片端から調べたところ、海外ではどのスタジオもストラテジーからデザイン、コミュニケーション、プロダクト、システム開発分析まですべて手がけていることがわかりました。
「私たちは、御社がどこに行きたいかから会話を始めます」といったメッセージがありました。これが正解だと確信しました。そうでなければ、事業成長は実現できない。
そこで冒頭でもお話した通り、当社はWhyから話をうかがい事業にコミットするザイン&マーケティングカンパニーという現在の形になっています。