現場を効率よく回すための撮影ラフ・香盤表の書きかた
紹介した必須のタスクの中で、とくに撮影の効率を左右すると考えているのが、撮影ラフと香盤表の作成です。「撮影ラフは知っているけれど、書きかたは自己流」「香盤表って何?言葉自体はじめて聞いた」という方も多いのではないでしょうか。それぞれの資料について、作成する目的や記載する内容、作成のポイントを紹介します。
撮影ラフの書きかた
撮影ラフとは、撮影カットの構図・テイストなどを記した完成イメージの資料のこと。これを準備する目的は、各カットに必要な要素や条件をあらかじめ具体的かつ明確にしておくためです。実際に撮影ラフに記載する内容はこちらです。
撮影ラフに記載すること
- 基本情報:プロジェクト名、掲載メディア名、撮影日、カットナンバー
- 掲載イメージ:媒体中の掲載位置、使用サイズ・縦横比率
- 被写体:モデルの名前、使用する小道具、着用する衣装、ポーズやモノの置きかた
- 撮影場所:立ち位置やカメラの方向・画角 ※ロケハン終了後、試し撮りの写真を添える
- 撮影意図:シーン設定、訴求内容、マスト条件
- 参考画像:色調や光の加減など目指したいトーンの目安になるもの
ここで具体的な書きかたを見てみましょう。次の図はその一例として、前回記事でも登場したコンセント新卒採用サイトにある記事コンテンツ「プロジェクト座談会」の撮影を想定したもの。さらにその下にある図は、実際に撮影した写真です。
撮影当日、そのカットの撮影内容はひとつのシートの撮影ラフを見ればすべてわかるよう、詳細に情報を記しておきます。フォトグラファーをはじめ撮影チームのメンバーも各自この資料をみながら、撮影時に気をつけるポイントや目指す仕上がりなどを確認し、撮影を進めています。
香盤表の書きかた
香盤表とは、簡単に言えば撮影当日のタイムスケジュールのこと。これを準備する目的は、撮影当日にやるべきことや動きを、時間軸で俯瞰的に把握するためです。ここでも書きかたの一例として、先述のコンテンツを想定したものを紹介します。
香盤表に記載すること
- 基本情報:プロジェクト名、掲載メディア名
- 撮影日時・集合場所:メンバーごとの入り時間
- 全カット数:予定カットの総数をカウントする
- タイムテーブル:移動やセッティング時間を見込んだ全体の進行
- 各カットにかけられる時間:難易度によって設定する
- 参加者の名前・役割・人数
- 当日の緊急連絡先
香盤表には、集合時間や撮影順だけでなく、必要に応じて小道具の準備時間や衣装チェンジのタイミング、それを進める担当者など、撮影以外の周辺の動きや役割分担をまとめておくようにしています。そうすると全員が先回りして準備することができ、タイムロスを少なく進めることができます。
撮影の現場では、「その場で判断すること/検討すること」をいかに事前に減らしておけるかが、効率よく進める決め手になります。「このカットはどうする?」「このあとはどう進める?」など、あらかじめ想定して決めておけることは資料に書き留めておくようにするのがポイントです。