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Web3時代、本場のイマは、どうなっているのか?シリコンバレー訪問記

Web3、DAO、NFT…知識だけではなく、実感せよ!佐藤達郎のシリコンバレー訪問記


なぜシリコンバレーで起業するのか。日本人の起業家を取材

 さて、西海岸ベイエリアにはサンフランシスコを玄関口として入り、1泊だけ同市に滞在して、早速、この地に住む起業家の小林大河さん(31才)を訪ねました。

 小林さんは、VRを用いた企業研修等を扱う会社Potlatch(ポトラッチ)を、ここサンフランシスコを拠点に立ち上げています。前述したWEB3BBの2023年7月のカンファレンスの時に東京で一度だけお会いしたのですが、今回連絡をしたら快く会ってくれました。

 地元の人に人気だというカフェで待ち合わせて(電動キックボードで彼はやって来ました)、小林さんの会社のオフィスへ行って、VR上で部品を拾って組み立てる企業研修用コンテンツの一部を体験させてもらったりもしました。

 小林さんのお話は、シリコンバレー界隈とその玄関口でもあるサンフランシスコのWeb3やテクノロジー関連ビジネスの実態が様々に感じられる示唆に富むものでした。この後いくつかご紹介して行きたいと思います。

小林さん
借りられる場所の向き不向きもあって、シリコンバレーに住んでいるのはご家族を持った比較的歳上の方が多く、僕のような若手はサンフランシスコに住んでいる人が多いですね。なぜここで起業することにしたかと言うと、テクノロジー関連企業の集積度合がダントツに高いからです。そうした企業群の時価総額の合計も群を抜いています。自分は以前から何らかテクノロジー関連で起業しようと考えていて、一緒に働く人材の豊富さを考えてもここだと思いました。
小林さん
東海岸が金融系ビジネスの街だとしたら、この辺りはダントツにエンジニア中心です。優秀なエンジニアは数千万円から一億円も稼ぐと言われています。飲みの場で会った人同士、「君はエンジニア?」という会話が最初にされるのがこのエリアでは普通です。そうした場で転職が決まる場合も多いようで、多くの巨大ハイテク企業がパロアルトやマウンテンビューなど、ある種辺鄙な場所に本社を構えているのは、そうした場所に自社の優秀なエンジニアを囲い込み、街中での転職話の展開を防ぐためだ、などとも言われています。
小林さん
うちの会社は代表である自分がこのエリアに住んで、エンジニアはインド、顧客対応は東京を中心とした日本というように、3拠点体制を敷いています。インドでエンジニアを探す際も、ここサンフランシスコやシリコンバレーで知り合った人からの紹介だと、手探りで臨むより、圧倒的に優秀な人材に繋がりやすいと言えます。そういう意味でもシリコンバレーは、優秀なテクノロジー人材の世界的な中心地なのです。
小林さん
とはいえサンフランシスコはここ何年か、市政の方針に端を発した治安の悪化が著しいと言われています。なにせ産業の中心にエンジニアがいるエリアで、コロナ禍後は他の地域よりも在宅ワークの一般化が著しいという事情もあって、店舗の撤退などは目に付きますね。

 サンフランシスコ到着当日の夜、市中心部にある、食事も提供するカジュアルバーみたいな店に入ったのですが、お客さんは、仕事が上手く行っている比較的裕福な感じの人が多く、立ち飲みスペースでは楽しそうに盛んに挨拶が交わされていました。小林さんの話に出て来た“飲み会の場で進むエンジニアの転職話”もリアルにありそうだなぁ、と思わせる光景でした。日本では、そういう話、あまり耳にしませんよね。そんなところにも、シリコンバレーがある種特殊な“ハイテク産業の中心地”であることを実感しました。

 これを書いているのは、シリコンバレー訪問3日目の夜、やっとパロアルト近くのメンローバークにあるアパート(Airbnbで予約)に落ち着いてからです。この後、明日からは、武富さんのご協力を得ながら、この地で、様々なビジネスの場を訪れ、様々な方にお話を伺う予定です。次回は、できればシリコンバレー滞在終盤に、「シリコンバレー訪問も終わりに近づいて」といった形で、こちらで体験したことをいろいろと報告したいと思います。

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/01 08:53 https://markezine.jp/article/detail/43246

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