食事と一緒に楽しんでもらう「WITH FOOD」を提案
――テレビCMを軸にしつつも、NFTといったデジタルコンテンツを賞品とするなど、IMCの導入が感じられますね。
はい、まさにその通りです。テレビCMを核として、Webや店頭プロモーションとの連動も重視しております。十六茶はロングセラー商品ですが、発売初期から「WITH FOOD」というコンセプトで訴求してきました。つまり、食事と合わせて飲んでもらう無糖茶ならではの強みですね。

たとえば、緑茶は和食に合うとされていますが、ピザと一緒に楽しむ人は少ないのではないでしょうか。しかし、ブレンド茶、特に十六茶は、和食からピザまで様々な食事に合う万能な飲み物としてのポジションを築いています。
2023年度のマーケティング戦略では、このWITH FOODのコンセプトを強化しています。というのも、2022年の価格改定によって飲料の集客効果が弱まった量販店様に対し、十六茶が貢献できることはないか──そう考えた結果、十六茶の飲み合わせの良さを訴求することで、総菜などの食べ物とのセット買いを促せるのではないか、と考えたわけです。
そこで、「どんな食事にも合う」をテーマにした販促用動画を制作し、いくつかの店頭で流してもらっています。さらに、季節商品とのコラボや特定の総菜アイテムとのペアリングなど、新しい販促展開も提案しています。このアプローチは、量販店の売上向上を支援し、飲料だけでなく他のカテゴリーの売上も促進する効果が期待できると考えています。
ROIよりも「目的対効果」を重視
――テレビCMは、他のWeb媒体などと比べて、「出稿費用が高額」「投資対効果が見えにくい」といった課題が指摘されることもありますが、これに対する十六茶の取り組みやKPIの設定法を教えてください。
確かにテレビCMの投資対効果は、Web広告と比べて可視化しづらいです。やはり「ROI=売上への貢献度」というイメージが強くあるからではないでしょうか。その点、私たちは「目的対効果」を重視しています。つまり「コミュニケーションが必ずしも購買行動に直結しない」とわかった上でKPI設定に臨んでいるのです。
十六茶のCM戦略で特に重視しているのは「視聴者の意識がどのように変化したか」であり、そのためにも「純粋想起率」をKPIに据えています。たとえば、「ブレンド茶といえば?」の質問に対し、「十六茶」と答えてくれる消費者を増やしたり、購買意向ランキングでトップを目指す、といった具合です。
また、テレビCM放映後のブランドリフト値や好意度も重要なKPIとしてトラッキングしています。さらに、効果をより正確に測定するために、広告接触者と非接触者の間でのブランドリフト値や好意度の差、CM接触前後の変化を細かく分析しています。店頭での価格変動や競合他社の新商品投入などの外部要因による影響も考慮に入れ、広告だけの効果を見極める努力を行っているのです。ROIに関するディスカッションが避けられない状況の中、我々はできる限り細分化されたアプローチで広告効果を評価し続けています。
