BtoBマーケターに必要なのは顧客の声の分析・理解力
──やはり、自社の事業も理解して実務もできるマーケターを一本釣りで採用するのは難しいと思うので、採用後の育成が重要になってきますよね。ちなみに、井田さんはできるBtoBマーケターの条件として何を挙げますか。
できるBtoBマーケターに一番必要なのは、顧客の声を分析し、理解することです。SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)がきちんと入力されていれば、顧客の声がテキストデータで可視化できるので、ニーズの変化もつかむことができます。
特にデジタルマーケティングに携わってきた方に多いのが、CVRやホワイトペーパーのダウンロード数など、数字の変化だけ追ってしまうケース。それよりも、営業が初回の商談でどういった話をしているのか、問い合わせ内容や受注内容はどうなっているのか、そういった内容がきちんと読み取れる人のほうが、BtoBマーケターとしての成長は早いと思います。
そのため、顧客と直接コミュニケーションをとるインサイドセールスがマーケターに向いていることもあります。現在弊社のマーケティング部内にインサイドセールスを置いているのも、インサイドセールスからマーケターになる道も用意したいと思っているからです。
──顧客の声を分析・理解できることが重要とのお話がありましたが、そのような人材を育てるために取り入れていることはありますか。
施策ごとにマーケターとインサイドセールスのペアを作るハンドリングプロジェクトという取り組みを行っています。たとえば、セミナーからの案件化を増やすペアをマーケターとインサイドセールスで作ったとします。そして、マーケティングが企画したセミナーでどれだけのリードが獲得できたのか、インサイドセールスのアプローチで何件案件化できたのか、案件化できなかったとしたらその理由を互いに共有します。
元々はそのようなことを意識的にしようと伝えていましたが、気を遣って言えないこともあったので、仕組み化しました。ペアによっては、インサイドセールスがセミナー参加者へのフォローメールを書くなど、お互いの担当領域を飛び越えて活動するようになっています。
約100名の規模だからできる連携と仕組み化
──現在サイバーセキュリティクラウドは100名程度の従業員規模ですが、同規模の企業がBtoBマーケティングに取り組む際に意識したほうが良いと思うことはありますか。
この規模のメリットは他部署との連携がしやすいことなので、そのメリットを最大限活かすことです。弊社の場合フィールドセールスは別部署ですが、常に連携することができています。
また、できるだけ仕組み化して定着化させることも重要です。目的を持って仕組みを作れば、それをベースに改善できますし、必要なければやめることもできます。この段階から仕組み化しておくと、新しく入った社員もそこに乗っかれば良く、規模が拡大しても分裂しにくいので、意識しています。
また、マーケティング部はインサイドセールスが7名、マーケティングが7名の計14名という体制になっているので、毎週定例の会議では施策の振り返りを全体で行っています。そうすることで、社内のノウハウをできるだけ共有しています。
──では、最後に今後の展望を教えてください。
着実に会社が成長して規模も大きくなっていて、扱っているプロダクトも入社当時は2つしかなかったのが、現在は4つまで増えており、今後もサービスが増えていく可能性があります。プロダクトごとに抱えている課題が異なるので、その課題を把握しマーケティング施策を打っていかないと、さらなる成長は見込めないと思っています。
そのため、今後はプロダクトマーケティングの担当を作って、各プロダクトの成長を最大化できる組織にしていきたいです。現在は私が各プロダクトのマーケティング戦略を描いていますが、人材採用や育成を通じてプロダクトマーケティングのできる人材を配置し、各プロダクトに最適化した施策を展開できるマーケティング組織を作りたいです。
