ラッピング広告を含めたOOHとの連動でテレビCMの効果を最大化
――御社はこれまで、OOHやタクシーのラッピング広告のように多彩なメディアを使用してマーケティングを行われてきました。その中で、テレビCMの役割をどのように位置づけていますか?
タクシーアプリは、従来のタクシーの乗り方に対して手段が一つ増えたものです。つまりタクシーを使う上で必ずしも必要なものではありません。
そういうポジションのアプリを使用してもらうために、タクシーユーザーの中での「GO」の助成想起および純粋想起をいかに上げるかが「GO」ローンチ時の重要な事業課題でした。こういった認知度の拡大に向けてテレビCMへの出稿を検討しました。
しかし、いくら日本のテレビCMの影響力が大きいといっても、いきなり訴求しただけでは多くの視聴者にスルーされてしまう可能性がありました。そこで、半年間、「GO」のラッピングをしたタクシー車両を多く走らせ、「GO=タクシー関連の何か」という意識づけを行い、その後テレビCMを使用することで認知率向上を図りました。

――現在のテレビマーケティングでは、デジタルチャネルとの相乗効果を期待した運用が定着しています。テレビCMの出稿に際して、連動を意識した他のチャネルや、相乗効果の最大化のために工夫した点があれば教えてください。
当社のアプリは、タクシーを使いたいタイミングで入れるといったものや、別のタイミングで入れておいてタクシーを使うタイミングで思い出すといった使われ方がほとんどです。そうなると重要なのは、どれだけ事前から「GO」のイメージを刷り込めているかになります。そのような利用特性からWeb広告との相性はそこまで良くないので、あまり注力はしていません。
テレビCMとの相乗効果を最も発揮したのは、街中のOOHでした。2021年時には、鉄道や、駅ナカも含めて相当な量のOOH広告を出稿していました。特に、新橋などの代表的なロケーションに出稿する際は、特にテレビCMとの相乗効果を意識していました。

――ブランド想起には、多くの企業が非常に苦労していると思いますが、「GO」は強い意識付けに成功されているように見えます。特にどんな点を意識されていたのでしょう。
CMのクリエイティブには注力しました。テレビCMは受動メディアですので、なんとなくテレビを見ている視聴者の印象にいかに残るかが重要になります。特に、上の世代ほど、路上でタクシーを止めるといった昔ながらの乗り方が定着していることが多いです。そんな彼らにアプリを認識してもらうために、タレントの皆さんの力を借りつつ、「どうする?GOする!」というキャッチコピーのテレビCMを行うことで、見た人が自分ごと化できるCM作りを意識しました。

約7割がオーガニック流入 投資判断はトータルのCPAから
――テレビCMは「高額な割になかなか投資対効果が見えにくい」などと言われることがあります。GOにおけるKPIの立て方や効果測定の方法について教えてください。
テレビCMを実施した主な理由は、やはり認知度を取るためです。助成想起や純粋想起に加えアプリを知っている人の中で利用意向度が高い人がどれだけいるのかといった点は、重要指標として定点的にモニタリングを行っています。
さらに、Web広告等含めペイドメディアへの出稿に力を入れなかったことが、結果的に当社ではテレビCMのやりやすさにつながったと感じています。なぜなら、先述の通りサービスの特性上、流入ユーザーは、約7割が広告からではなくオーガニックになります。ラッピング広告に関してもタクシー会社からのご協力の下で安価で掲載できていることもあり、現在、全体のCPA≒テレビCMのCPAとして考えることができています。
また、組織面においてもデジマとPRで分かれてしまう一般的な考え方とは違い、当社ではペイドメディアもテレビCMも、さらには友人紹介のクーポンなどもアプリ事業本部内のマーケティングの部門で予算を管理しています。そのおかげで、「CPAはトータルで成り立っていれば問題ない」と全体を見て合理的に判断を下すことができるのも強みです。