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【特集】事業フェーズ×組織規模で見る「BtoBマーケティング」

部品屋からグローバルのソリューションカンパニーへ。創業82年の工業製品メーカーNOKのパーパス経営

 カーボンニュートラル達成に向けて、社会全体で機運が高まっている今、日本の様々な産業が大きな岐路に立っている。自動車部品や電子部品を製造する工業製品メーカーNOKもまさに同じ状況だ。この転換点を企業成長のチャンスにできるのか──NOKのパーパス経営からヒントを探したい。

※本記事は、2023年9月刊行の『MarkeZine』(雑誌)93号に掲載したものです

創業82年、日本の老舗工業製品メーカー「NOK」の現在地

──はじめに、NOKの事業概要についてご紹介いただけますか。

 NOKは1941年創業の日本初のオイルシールメーカーです。オイルシールとは、その名のとおり「オイル(油)をシール(封じる)」するために用いられる機能部品で、これを祖業とし、「シールする(密封する)」という機能の対象を様々な形に多角化させることで事業を拡大させてきました。自動車をはじめ、建設機械や船舶、ロボット、飛行機、印刷機、より身近なところでいうと洗濯機など、実は日常生活の色々なところにNOKの製品は使われています。

NOK株式会社 代表取締役 社長執行役員 CEO 鶴 正雄(つる・まさお)氏 2005年4月にNOK入社。同社経営企画室企画部長、同社執行役員・経営企画室副室長、NOKクリューバ―代表取締役社長、同社代表取締役兼NOK常務執行役員・事業推進本部長、NOK専務取締役を経て、2021年より現職。ジョージタウン大学マクドノー経営大学院修士課程修了(MBA取得)。
NOK株式会社 代表取締役 社長執行役員 CEO 鶴 正雄(つる・まさお)氏
2005年4月にNOK入社。同社経営企画室企画部長、同社執行役員・経営企画室副室長、NOKクリューバ―代表取締役社長、同社代表取締役兼NOK常務執行役員・事業推進本部長、NOK専務取締役を経て、2021年より現職。ジョージタウン大学マクドノー経営大学院修士課程修了(MBA取得)。

──NOKがいる市場の環境についても教えてください。

 オイルシールに関しては、国内の自動車メーカー向け市場で首位におり、シェアは70%超に及びます。また、アメリカ・ヨーロッパ・アジア・中米などグローバルにも約60の拠点を展開しており、海外のビジネスパートナーとともに、グローバル市場でも高いシェアを誇るまでに売上を伸ばしてきました。シールと一口に言っても様々な技術や製品があり、もちろん各国に競合はいますが、グローバルでも市場をリードする位置にいると自負しています。

 しかし、事業をとりまく環境は近年大きく変化しています。社会全体でカーボンニュートラルの達成が目下の課題となっている今、それに起因して、様々な産業で大きな変化が起こっているためです。

 たとえば、我々が主にビジネスを展開している自動車産業では、動力源がガソリンから電気や水素に変わりつつあります。すると、現在自動車で多数採用されているNOKグループの製品についても、各自動車メーカーから求められるものが変化してくるわけです。

従来の成功法則に依らず、マーケティング力の強化へ

──なるほど。時代の流れの変遷を受けて、NOKもマーケット自体も大きな転換点にいるのですね。

 はい、一つの明確な正解がある時代ではなく、市場の環境もどのように変化するかわからないような状況にあります。

 これまでは、お客様からご相談いただく困りごとや要求に、NOKの技術をもって製品という形にしてご提供するというのが我々の勝ちパターンでした。そういう面では、NOKの営業部隊はとても優秀で、お客様の困りごとを技術で解決するキャッチボール力、いわば営業・マーケティング力を有しています。

 しかし、お客様もまだ見ぬ解を探して新しいものを作ろうとされている中で、お客様から新たな困りごとが出てくるのをただ待っているわけにもいきません。社会や時代の流れを察知し、お客様のニーズを先読みして、NOKの独自価値を提供していく――そういったマーケティング力を強化していく必要があるのです。

 これについては全社的に取り組みを始めており、戦略立案から研究、製品開発、材料開発、量産化までの意思決定を一気通貫に行えるよう、技術組織を統合し「NOK R&D」に改編するなど、組織体制から見直しています。

 また、外部から人材を採用したり、専門パートナーとプロジェクトベースでタッグを組んだりして知識やスキルを取り入れながら、プロダクトアウトのマーケティングから、ソリューション提案型のマーケティングへシフトしようとしています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/09/26 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43565

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