「検索」は手段にすぎない
その日、彼は朝イチでクライアント企業(銀行)に新規で訪問したとのこと。多くの人は、とりあえずGoogleでクライアント企業のことを調べてから訪問するだろう。だが、彼は今、New Bingで調べているらしい。
以下は、私のiPadで検索した結果である。ためしに、「セブン銀行 強み 弱み」というクエリを投げてみた。別に、ほかの銀行でも構わない。
 
Googleでは、もちろん、適切な検索結果が戻ってくる。そして、この検索結果のリンクをクリックして、該当するウェブページに遷移し、そのページ内の情報を読んで「セブン銀行 強み 弱み」を自分で要点にまとめる。
 
MicrosoftのNew Bingでは、GPT-4が動作し、様々なウェブサイトから得た情報を基にして「セブン銀行 強み 弱み」の要点をまとめてくれる。検索結果ページのリンクをクリックして次のページ内の情報を自分で読み込むという手間が省ける。どのページをNew Bingが参照したかは「詳細情報」という欄にリンクで表示される。情報ソースまで提示してくれるのだ。
様々な企業の強みと弱みを調べて比較したが、おそらく、Googleではいくつかのサイトを調べて自分なりに要点を解釈するのに、約10分。マイクロソフトのNew Bingでは、1〜2分で目的を達成する。これは、衝撃だ。生産性革命が現在進行中なのだ。
検索エンジンが「手段」であり、「目的」が企業の強みと弱みを調べることだとしたら、「どっちが便利だと思う? だから、この半年でGoogleをほとんど使わなくなってしまったんだよ」と彼は言った。
彼の話しでなるほどと思ったのは、書店で気になる本があったら、「New Bingで調べている。メチャクチャ便利だよ!」というアドバイスだった。たとえば、『ジェネレーティブAIの衝撃』という本が気になったら、「『ジェネレーティブAIの衝撃』という本の要約と評価を教えて」とスマホを取り出して、New Bingに話しかけるらしい。これも、Googleと比較してみよう。
 
 
このキャプチャ画像は私のiPadから撮っているが、スマホアプリでも同様の結果が、もちろん表示される。私は20年以上、Googleを使ってきたし、私の固定観念では「Googleしかない」と思っていた。しかし、本の要約と評価を「検索する」ことしかできないGoogleと、本の要約と評価を「検索して生成する」ことまでやってしまうNew Bingの違いを、マザマザと見せつけられた瞬間だった。
「ヤバイな、これは。検索の時代が終わったんだな」。素直に実感し、なぜか敗北感も感じた。それは、Googleが一番いいと思っていた自分の固定観念が打ち砕かれた瞬間でもあった。その日から、Googleの利用頻度が極端に減っている。
「検索する」ことしかできないGoogle。「検索して生成する」ことまでやってしまうNew Bing。そうか。検索は「手段」に過ぎないのだ。「目的」は別のところにあったのだ。そう思い知らされた。

 
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                
                                 
                                
                                 
              
            