電通グループは「2024メディアトレンド調査~The Pace of Progress(進歩のスピード)」を発表した。
同調査では、dentsuブランドのメディアエージェンシーであるCarat(カラ)、dentsu X(デンツウクロス)、iProspect(アイプロスペクト)を中心とした専門家が、メディア業界における10の重要な変化の要因を予測・紹介している。
生成AI技術が主役に
まず、生成AI技術に関する3つのトレンドを紹介した。
・トレンド1:生成検索(ジェネレーティブサーチ)の台頭
生成AI技術は、検索エンジンからEコマース・プラットフォームまで、生活者が情報にアクセスする方法を変革する。
・トレンド2:クリエイティビティの再構築
生成AI技術は、コンテンツや映像制作、コピーライティングなどを通じて人間の創造性を強化する。
・トレンド3:生成の最適化
生成AI技術を活用することによって、広告制作やターゲティング、効果測定の最適化を実現し、大規模かつ迅速に行うことが可能になる。
収益化に向けた競争の激化
次に、プラットフォーマー間の収益化に向けた競争激化におけるトレンドを4つ挙げた。同調査では、各プラットフォーマーはより高い収益を得るために、データ保護の徹底・ユーザーの理解・広告提供の強化に一層リソースを投下すると予想している。
・トレンド4:類似アプリの乱立
各SNS・アプリの機能やデザインなどが類似。さらなる差別化で生活者の関心をいかに引き付けるかが、ブランドにとって重要になる。
・トレンド5:データ保護の更なる強化(クローズドプラットフォームからクローズドパイプラインへ)
プラットフォームがデータ保護をより強化することで、データ保護と利活用におけるバランスが大きな課題となる。
・トレンド6:アイデンティティへの再注目
サードパーティCookie使用の非推奨化が進む中、メディアプラットフォームによるユーザーデータの収集・分析が倍増する。
・トレンド7:より多くの広告とより多くのリターン
多くのプラットフォームが新たな領域に広告を拡大。その結果、新たなフォーマットや配信機会、リスクが生まれる。
インテグリティ・エコノミクスがブランドにとって不可欠に
続いて、ブランドの社会に対するサステナブルな貢献にも注目。3つのトレンドから、生活者とブランドにとってより炭素効率が高く、多様で安全なオンライン空間を構築することが成功のカギだと提言した。
・トレンド8:成長への新たな局面へ
メディア消費の多様化とパーソナル化が進む中、ブランドは生き残るために生活者のニーズとアイデンティティを反映し、適応していく必要がある。
・トレンド9:より安全に、より良く、より速く、より強く
急速に変化するデジタル環境におけるブランドアシュアランス(ブランド保護)の展開は、生活者とブランドの双方にとってより安全な環境の構築に貢献する。
・トレンド10:注目度を高め、排出量を削減
ブランドがカーボンメディアの効率化戦略を実施する際、注目度を高めるための最適化が広告効果を通じて脱炭素化につながることが想定される。
【関連記事】
・電通グループら、実空間と連動したNFTにおける実証実験を実施へ 地理空間情報をメタデータとして紐付け
・AR、利用経験者は半数を超える/購入プロセスの興味・関心や情報収集、検討に影響【電通グループら調査】
・電通グループ4社、2030年までに起こりうる未来トレンド「電通未来曼荼羅2023」を発表
・電通グループ、個人情報保護に対応した行動データを活用しBtoB企業の広告と営業のデジタル変革を推進
・運用型広告、2兆円を突破/電通グループ5社が「2022年 日本の広告費」の詳細分析を発表