ブランディングにとどまらない、スポーツをマーケティング活用する魅力
田中:続いて、スポーツのマーケティング上の魅力をお聞かせいただけますか。
鈴木:アスリート自身が真剣に向き合って表現している、“本物のコンテンツ”として見られる点が特徴ですよね。また、選手をスターとして見えやすい形で活用できる点もマーケティング上の魅力です。大谷翔平選手が使っているものは、ファンも使いたくなります。そういう観点だと、WEリーグさんは「推しを見つけてほしい」という打ち出し方をされていますね。
松岡:そうですね。やはりWEリーグはJリーグなどと比較するとフィジカル面といった違いはありますが、そのぶん技術が問われるなど、異なる見方ができます。そういった色々な女子サッカーの楽しみ方をファンに見つけてもらうことが大切であり、その一つとして選手への「推し活」といった面もありますね。
加えて、スポーツのマーケティング上の魅力は、様々な企業ニーズに当てはめることが可能な点だと考えています。選手を活用したブランディングだったり、女子サッカーのようなジェンダー観点をはじめとした社会的な意義だったり。他にも教育の文脈や身体のコンディショニングなど、色々な角度から活かせるのがスポーツです。
馬場:推しという話に関連しますが、好きなアスリートを入り口にしてサポートしている企業やブランドにも関心を持ってもらう形は、通常のブランディング活動とは異なるアプローチになります。競合企業も同じ土俵でマーケティング活動を行う中で、スポーツという軸で自社のファンを新たに生み出せる構造を作ることができるのは魅力ですよね。
ダイバーシティの文脈だけでなく、ビジネス面でも効果が
松岡:欧米の女子スポーツのデータになりますが、ファンは新しいテクノロジーに敏感でコミュニティ志向が強いことがわかっています。先ほどの推し活も、そういった分析結果を踏まえた観点になりますね。
データによれば、女子スポーツファンは自分が好きなスポーツに協賛している企業の商品を購買する傾向が強く、ブランド想起率も2倍にアップしています。女子スポーツであっても、DEIやCSRの文脈だけではなく、ビジネス面でも効果を発揮できているのです。

松岡:サントリーさんはファンに対するアプローチをしっかりやっていらっしゃる印象です。ラグビーファンは皆、サントリーさんの製品を買われるのではないでしょうか。
馬場:ラグビーを通してサントリーのファンになっていただいた方々は、通常のマーケティング接点とは違う顧客層も多く含まれています。また現在はデジタル化により、リアル以外での接点が広がるとともに、接触したお客様がその後当社の製品を購買いただけたのかがある程度わかるようになっています。
田中:かつてはスポーツというと、視聴率など露出の部分しかデータを取れませんでしたが、今はもっと細かく様々なKPIを見ることができます。スポーツを見た人の行動も、以前と比べるとより把握できるようになりましたね。

 
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                
                                 
                                
                                 
              
            .jpg)