CRM活動は企業と顧客を繋ぐ「シンクタンク」へ
さて、視点を少し先に向け「これからのCRM」についても考えてみたいと思います。テクノロジーの進化や情報インフラの整備が進んでいくと、今後顧客理解に関しては、「スピード」と「質」の両方が求められるようになってくると考えます。ここで出遅れると、競合との間で顧客理解に差が生まれ、いずれ致命的な顧客離れに陥る可能性すらあるでしょう。
そして、ここで言う「顧客理解」の効果は、マーケティング領域だけに留まりません。顧客理解が進んだ先には、デマンドチェーンによる効率的な企業活動の加速があると考えています。先ほど、CRM活動が生産計画や在庫管理によい影響を与えた例を紹介しましたが、実際にブレインパッドでは、生産計画や在庫管理、配送の最適化、需要予測、商品企画など、ビジネスプロセスの様々な点でデータ活用の支援をしています。

こうした広がりを考えると、CRMの担当者および組織を「企業にとって最重要となる顧客理解に責任を持つ人・組織」として再定義していく未来が見えてきます。「顧客に関するシンクタンク」を創造していくイメージです。そのとき、CRM担当者に新たに追加される役割は次のようなものが考えられます。
・顧客インサイトの分析:データ分析を通して顧客が重要視していることをまとめ、全社に展開することで、企業全体の顧客理解の解像度や能力を向上させる。
・顧客戦略の提案:顧客理解をベースに新商品開発、新たな顧客像やコミュニケーション方針の作成をし、マーケティング全体の戦略立案を担う。
今、CRM活動をリードする立場にある方は、このような変化を想定し、「先を見据えながらも、目の前の課題を解決していくこと」に注力できるとよいでしょう。