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【特集】お客様の「ご愛顧」を得るには?

国内清涼飲料No.1の「サントリー天然水」が証明する、一貫したブランディングの強さ

「常にある」インフラとしてのブランドの責任

──先ほど、有事の際に需要が伸びるというお話をされていました。水を備蓄しておく必要性は近年かなり浸透していますが、こうした呼びかけのコミュニケーションも行われているのでしょうか?

 そうですね。家庭に水を備蓄しておくことの重要性を伝えるコミュニケーションは、お客様の役に立つものであると考えています。また、備蓄していても賞味期限が切れていたら意味がありませんので、定期的に備蓄品の見直しや買い替えをすることも大切です。これをローリングストックと呼ぶのですが、主に店頭のPOPなどでローリングストックを呼びかける訴求は継続して行っています。

 加えて、9月の防災月間や3.11の時期に、防災への意識を高め、もしもに備えることの大切さを呼びかけるために様々な取り組みを実施してきました。猛暑や自然災害が発生した際に備蓄の必要性を訴えることにも意義があると思いますが、平時からコミュニケーションを続けることこそ大事であると考えています。

「サントリー天然水 防災継承プロジェクト」の一環として公開された東北地方最大の新聞社である河北新報社との共同企画『3.11 あの日、助けてくれたものリスト』
「サントリー天然水 防災継承プロジェクト」の一環として公開された東北地方最大の新聞社である河北新報社との共同企画『3.11 あの日、助けてくれたものリスト』

 何より、我々は「サントリー天然水」は社会のインフラであるという意識を持っています。過言な部分もあるかもしれませんが、全国どこに行っても買える製品であるということは、地震などで断水した際、真っ先に皆さんにお買い求めいただける製品と言えるかもしれません。お客様が本当に飲み水を必要とされているときに商品を届けられない、というような事態は絶対に避けなければならないという責任感を持ち、供給能力をシビアに見て需給を管理しています。

ブランドのさらなる価値向上を目指す「ウォーター・ポジティブ」の取り組み

──「サントリー天然水」においては、水を育むための活動にも力を入れ、立体的なブランディングを行われている印象があります。

 サントリーは、創業時より“水”を非常に大切にしてきました。水がなければ我々は製品を作ることができません。水がないということはつまり、我々にとっては事業を継続できないということになりますから、使う以上に水を育んでいくための活動は長年続けており、これはサントリーの事業活動の根幹を成すものだとも言えます。

 ですから、我々が行っている活動はいわゆる「CSR」「ESG」的なものに留まるものではありません。実際に、CSRという言葉が浸透するよりずっと前から、同様の取り組みを続けてきました。サントリーの事業を継続させるために、水を守り育むことは必要な活動なのです。

 その上で、近年は「サントリー天然水」をより好きになってもらうために、「水を大切にしているサステナブルなブランドである」ことを製品にまとわせる試みを行っています。2003年から行ってきた「サントリー天然水の森」の活動を、ブランドや製品と紐づける形で、より広く世の中に伝えていくことを目指しています。

──その代表的な取り組みが「ウォーター・ポジティブ(事業活動で使う水より多くの水を自然環境に還元すること)」啓発活動の強化ですね。

 ええ、2023年は新しい地図の稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんを起用したコミュニケーションで、「ウォーター・ポジティブ」にサントリーがチャレンジしていくことを宣言しました。2023年12月から開始した新テレビCMでは、芦田愛菜さんに出演いただき、水を育むことの大切さを知っていただくためのコミュニケーションを行っています。

 新CMで意識したことは、サントリーがこれまで行ってきた天然水を育むための活動をお客様にわかりやすく伝えるべく、「ウォーター・ポジティブ」「サントリー天然水の森の活動」などの言葉を開いて伝えることです。水の質がよいから、店頭やCMでよく見るからといった、これまで築いてきたブランドイメージのベースを守りつつ、サステナブルなブランドであることを購入理由の一つとして付与させていけないかと考えています。これまで定点観測してきたブランドイメージの中に、サステナビリティに関するものが入ってくるのか、そしてそれがしっかり購買につながっているのかは、注意して見ていきたいポイントです。

──一貫したブランドイメージを醸成しつつ、新たな試みもされている「サントリー天然水」のマーケティングからは、顧客に選ばれ続けるための基本を学ぶことができました。ブランドが“ご愛顧”の源泉になっている例として、読者の参考になると思います。お話ありがとうございました。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/04/24 14:32 https://markezine.jp/article/detail/44868

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