検討時間の長いBtoB事業で「購買意欲」をどう高める
早川氏はベネッセコーポレーションのオンライン動画学習サービス「Udemy」の法人向けパッケージプラン「Udemy Business」の新規リード獲得・MQL(Marketing Qualified Lead)創出を主に担当している。チームの組織体制はThe Model型になっており、マーケティング部門でリードを獲得・育成し、インサイドセールスに渡していくという流れだ。
セッションではその中で、マーケティング部門におけるリードナーチャリングについて詳しく解説された。早川氏はここでのリードナーチャリングの定義を「見込み客の購買意欲を高めること」とした。
早川氏は特にBtoBの場合のリードナーチャリングの重要性を次のように説く。
「BtoBの場合、検討に関わる人の数も多いですし、検討期間が長くなる傾向にあります。そのため検討期間の中で、段階ごとのアプローチを実施し、購買確度を上げていく必要性があります」(早川氏)
メールナーチャリングの3類型
リードの獲得と育成(ナーチャリング)はどちらも大切だが、早川氏は昨今の状況から次のように話す。
「昨今、SNSの普及など、リードの獲得手法は多様化していますし、比較的以前と比べると取りやすいと考えています。ただ、様々なところで獲得したリードに対し、適切なアプローチをかけていくのは以前と比べて難しく、またそれゆえに大切です」(早川氏)
ナーチャリングの手法もダイレクトメールを送ったり、SNSを活用したりと様々あるが、特に始めやすいのはメールだろう。セッションではメールを活用したナーチャリングに絞って解説された。
ひと口にメールナーチャリングといっても方法は分かれるが、早川氏がUdemy Businessのチームに加わった当時はメールマガジンのみが施策として行われていたという。
上図左のメールマガジンを知らない人はいないだろう。ウェビナーの告知などを一斉送信するイメージだ。
中央のステップメール/シナリオメールは、ウェビナーに参加した人など特定のユーザーのアクションをトリガーにし、そのユーザーに向けて用意をしたメールを新たに送っていくというもの。ステップとシナリオ、二つの違いはどこを起点にメールを配信するかだ。ウェビナーに参加した、メールを開封したといったユーザー行動を起点にしているのがシナリオメール。一方のステップメールは特定のユーザーに対して期日を起点に配信する手法で、たとえばウェビナー参加登録日の1週間後などに配信する。
そして、一番右の“高度な”シナリオメール。配信に用いられるMAツールによって可能となるシナリオ構築は当然異なるが、早川氏がここで指し示しているのは「顧客のカスタマージャーニーに合わせて個別のアプローチができるような仕組み」を持った配信手法だ。たとえば、早川氏の部署が実際に使ったMAツール「Adobe Marketo Engage」であれば、エンゲージメントプログラムを活用したメール配信がこれに当てはまる。
早川氏の部署では既存のメルマガに加え、ステップ/シナリオメール、そして高度なシナリオメールに挑戦し、「とにかく壁にぶつかりまくりながらも3ヵ月で形にした」と語った。
そんな早川氏がナーチャリングシステムを構築する上で重要と話すのは、「とにかく営業を巻き込むこと」「完璧を目指さない、今あるもので」の二つだ。早川氏はこれらのポイントをナーチャリング業務推進の流れに沿って説明した。