企業プロモーションにおける「2つの型」とは?
また、企業がプロモーションをするにあたり「2つの型が存在する」と寄藤氏は話す。
1つ目は、テレビCMやメルマガなどに代表されるPUSH型だ。PUSH型は主に広告のことを指し、リーチ力が強い反面、共感性やリアル性が低い。加えてZ世代となるとPUSH型の広告に苦手意識を感じている人が多いため、さらに共感しづらくなっている点は見逃すことはできない。
そこで注目すべきは2つ目の型であるWITH型だ。WITH型は主にオウンドメディアやSNS、インフルエンサーの投稿などを指すという。これらは、リーチ力は今一つとなるが、共感性が高く、今を伝えやすいことからリアル性も高い。
「そこで我々はWITH型コンテンツを通してZ世代と接点を作ることにしました。企業が求人潜在層となるZ世代が多いSNSとして目をつけたのがYouTubeとTikTokです。毎日接触することで、信用できるベースを作ることにしました」(寄藤氏)
同社ではWITH型コンテンツを中心にしつつ、PUSH型を組み合わせることで、より広く・より早く届け、共感してもらい、Z世代をファン化できる仕組みを整えていった。

「テレビCMを用い芸能人を起用することで、企業メッセージを広く届けることはできても、Z世代に対し共感を生む方法として他の可能性もあるのでは、と考えました。WITH型のコンテンツで発信することは最初こそ伸び悩みますがリアリティーがあり、エンゲージメントを伸ばしていくのに効果的です。ディップではWITH型のコンテンツに、PUSH型のテレビCMを掛け合わせることで、リーチ→エンゲージメント→獲得まで導く施策を実施しました」(寄藤氏)
マーケティングフレームに落とし込み、体系化に成功
セッション後半で語られたのが、SNSコンテンツマーケティングに関する運用体制と考え方について。特にTikTokを中心に据えて解説していった。
ディップのSNS担当者は4名いる。そこで各運用者による投稿のバラツキを防ぐため、SNS運用をマーケティングフレームに落とし込み、誰でも運用できる仕組みと再現性を整えた。
「立ち上げ期に見えてきた課題から、それぞれの対策を洗い出しました。この中から、自社でやるべきことと、外部パートナーにお願いすることを切り分けていった形です。他業務も行いながらも、毎日投稿とクイックなPDCAを回せる体制を実現しました」(寄藤氏)

同社がマーケティングフレームの中で最も重視していたことは、戦略戦術作りだ。TikTok運用では、同媒体のレコメンドエンジンの傾向を解析し、「TikTok 10箇条」を作成した。こうすることで各担当者の個人解釈に左右されない、企画・編集のゴールを統一。一定のクオリティーを担保し、視聴回数拡大、登録者獲得につながる型を整えた。

「TikTokは、まねをするプラットフォームです。第3条にも書いてありますが、ミームを見極めて取り入れることで大きく成果を伸ばせます。そこを意識して企画しながらTikTok 10箇条に合うコンテンツを企画・編集していっています」(寄藤氏)