「感染症予防・免疫力改善」市場の成長を支えた商品カテゴリとは?
ではここからは、市場が大きく伸びた「風邪などの感染症予防・免疫力改善」および「不眠・ストレス対策」の2つの市場について、より詳しく見ていきたいと思います。
まず「風邪などの感染症予防・免疫力改善」について見てみましょう。下のグラフは5年間のこのヘルスベネフィットの市場規模と、このヘルスベネフィットに関心がある人の割合を並べて示したものです。こちらを見ますとコロナが始まった2019年から2020年にかけて市場規模・関心とも増加しています。その後2021年に下がり、その後大きな変化は起きていません。コロナによって関心が増大し、市場規模を押し上げたと言えます。逆に言えば今後コロナへの関心が減っていくことで、市場が停滞するリスクがあると言えます。

調査では、それぞれのヘルスケアベネフィット別に利用した食品の詳細な品目も聴取しています。「風邪などの感染症予防・免疫力改善」の目的で、各品目をとった人の割合(23年度の上位5カテゴリ)をまとめた結果を見てみましょう。
TOP3は「納豆」「乳酸菌飲料」「ヨーグルト」など発酵(菌)にまつわる商品カテゴリです。
過去5年のこれらの商品カテゴリの市場規模トレンドを見ると、多少の差はあるもの、コロナ禍の開始とともに割合が伸び、その後収束するという点で共通しています。
免疫力改善への関心の高まりから、食品全般に期待が高まったと思われます。その中でも以前から免疫に影響すると考えられる発酵(菌)食品については、特に市場が伸びたと考えられます。
「不眠・ストレス対策」市場は生活者の既存ニーズを掘り起こして拡大
次に「不眠・ストレス対策」市場についても同様に分析していきましょう。市場規模はコロナが始まった直後も伸びることはなく、2022年まではやや停滞ぎみです。ところが2022年から2023年にかけて大きく伸びています。 一方で関心がある人の割合はほとんど変化していません。「不眠・ストレス対策」の市場については生活者の関心と市場規模には関係性がないようです。

「不眠・ストレス対策」目的で各品目を摂取した人の割合を見ると、TOP3は「乳酸菌飲料」「チョコレート」「牛乳」となっています。過去5年のトレンドでは、2020年には「チョコレート」と「牛乳」が伸びていますが、その他の商品はあまり動きがありません。2022年から「乳酸菌飲料」、「ヨーグルト」、「納豆」が伸びています。特に「乳酸菌飲料」は2022年、2023年に爆発的に伸びています。
「風邪などの感染症予防・免疫力改善」への期待などから「乳酸菌飲料」の購入が伸びる中、元々関心が高かった「不眠・ストレス対策」ベネフィットが商品に加わったことで、「乳酸菌飲料」の購入量が大きく拡大した可能性があります。商品の力がこの市場拡大につながったと考えられます。