応援消費をする人に傾向はある?
──震災やコロナ禍以降、より一層トレンドとなってきている応援消費ですが、そもそも性別や年代による傾向はあるものなのでしょうか。
水越:ひと昔前は「主婦」に多いという傾向がありましたね。世界的に見ても女性のほうが消費行動をする傾向があり、男性より応援消費に関心をもちやすいと言われていました。男性は逆に、消費しないことで批判の意思を示す「ボイコット」に参加する傾向があったようです。
しかし昨今、応援消費に性別や年代は関係ありません。老若男女問わず幅広い消費者に広がっている概念です。

ファンマーケティングと共通する側面
──応援消費を専門とされている水越先生のもとには、企業からどんな相談が来ていますか。
水越:推し活マーケティングやソーシャルマーケティングの相談はもちろんですが、「どうしたら自分たちが応援されるようなブランドになれるのか」という相談も増えてきています。アイドルやアニメなど、コンテンツの力を使うのではなく、自分たち自身にファンをつけ、応援してもらうという形ですね。消費者が自分のためではなく、「好きな企業・ブランドに生き残ってもらうため」に商品を買うという構図は、「他者のため」に消費する応援消費の行動原理に当てはまります。
──ファンマーケティングに近いイメージでしょうか。
水越:そうですね。元々ファンマーケティングやアンバサダーマーケティングと呼ばれていたものと本質はつながっています。かつてはあのAppleも、一般大衆に受け入れられず「潰れる」と言われ続けていましたが、「自分が買って応援しなければ」と考える強固なファンに支えられていた時期がありました。