法改正の追い風を受ける、シェアリング事業の可能性
さらに視点を変えると、AirbnbとUberは自社のプラットフォーム上に、スモールビジネス企業と利用者との「信用通貨」を積み上げていると言える。
日本のウィークリー/マンスリーアパートは海外から予約しようとすると、必ず日本の銀行口座や住所、電話番号などが求められる。「信用ある人には貸す・ない人には貸さない」という判断は、金融だけでなく、不動産(住居)やその他の産業にも存在している。Airbnb経由の信用口座があるなら、Uber経由なら、世界中のどこでも部屋を借りたり車に乗ったりできる、と世界を広げているのがこのビジネスだ。
ビジネスオーナーにとっては、利用者による登録情報と「いいねやレビュー」がプラットフォームにおける信用価値となる。
こうした信用通貨がプラットフォーム上に蓄積されていくと、その信用の上に生活周辺事業が生まれてくる。たとえばAirbnbによる「AirCover(住まい保険)」やUberにおける「Uber Eats」、Advertisingの新事業がそれに当たる。オンライン・インフラ機能が整ったプラットフォームが、さながら小さな街として成長しているようだ。
本稿で強調したいのは、AirbnbやUberのモデルは、これまでの法規制にはなかった新概念であるということ。これらの新事業モデルを一律排除のまま維持するか、それとも法規制緩和で迎え入れるか――各国・各都市の自治体が選択を迫られるほどの価値が生まれている。
日本で馴染みがある「民泊新法(住宅宿泊事業法)の施行」や「ライドシェアの議論」なども、これらの波によるものだ。法規制緩和のほうへ向かう流れは、他の先進国・都市でも同様。未検討の国・都市の数のほうが多く、大きな需要がまだまだ埋もれている状態だ。
WeWorkのモデルは、賃貸契約の延長で資本金さえ積めばスケール化が可能であり、ここにも違いがある。
参考までに、この3社の2023年末の最終純利益額はAirbnbが約6,700億円(47.9億ドル)、Uberが約2,600億円(18.9億ドル)。WeWorkが約4,500億円の負債保証の破産申告と再建計画へ向かったのは発表のとおりである。
