DXプロジェクト開始から1年半で、ほぼ自走できる状態に
データ分析はグループ競争力の源泉となる重要な分野であるため、グループの情報室部門としてIT投資を最適化するミッションを担うアイテックは、当初から内製化を期待されていた。
顧客データ活用のコンサルタントとして同プロジェクトに参画したインキュデータの鈴木氏は「私たちはクライアント企業が自走化できることをパーパスに掲げています。同プロジェクトにおいて『自走化』を進めるための重要なポイントは、CDPを使う阪急阪神HD様とアイテック阪急阪神様の役割の違いを明確にしていただいたことです」と解説した。
阪急阪神HDはCDP内のデータを利活用する立場、アイテックは主にCDP環境を構築し、ホールディングスからの問い合わせを受け付ける立場である。それぞれに必要となる情報や知識も異なる点を踏まえて、レクチャーを実施した。
レクチャー後は、ナレッジが構築されるたび業務を移管し、アイテック側で実施できる範囲を広げていった。その結果、2021年のプロジェクト開始当初は開発業務の8割程度をインキュデータが担っていたが、1年半後には約1割まで減らすことに成功。現在は実質的に阪急阪神HDとアイテックの2社間でプロジェクトが回っている。
「インキュデータの提案には最初から内製化の支援が含まれており、共にプロジェクトを進めることで、グループ内にソリューションやノウハウを蓄積できました」と垣之内氏は振り返る。加えて、データ分析に関する知見や高い技術力によるトラブル対応も、安心できるポイントであったという。
データは集めるだけでなく、味方につけることが重要
最後にインキュデータ加松氏から、山本氏に今後の構想や目指す世界観について質問。山本氏は「顧客データをお預かりし、分析して、リアルとデジタルが融合した革新的なサービスを創出すること」だとし、それを共感する企業と共有したいと答えた。
「鉄道会社に限らず、コンシューマ向けのサービス業を営み、顧客名簿を持つ企業と規模の大小を問わず顧客管理を共有できる体制を構築するのが一つの夢です」(山本氏)
オンプレミスや自社のサーバルームでシステムを構築すると会社ごとのシステムになりがちだが、ベンダーがシステムをSaaSとして販売することでユーザー企業はシステムを共有でき、シェアリングによるコスト削減が実現する上に、顧客への新たな価値やサービス提供にもつながる。
加松氏は「企業においてDXなどを実現させ、成功するためには、データ活用は不可欠です。その前提として自社の保有データを可視化、棚卸しを行うことこそが最も重要です」と加え、「インキュデータでは、パーパスの策定からマーケティングの施策、デザイン、そしてDX人材の育成まで行います。ビジネスとデータの両軸からの支援を提供しています」と述べた。
インキュデータには、「データ活用の目的が不明瞭である」「データの整備や連携が不十分でサイロ化している」「データ活用に必要な知見や人材が不足している」といった悩みが多く寄せられる。心当たりのある企業は「攻めにも守りにも活用できる、そのためのデータ基盤」としてのCDPの在り方を検討してほしいと述べ、加松氏はセッションを締めくくった。
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