8ヵ月間で100万ダウンロード、MAUは192%に伸長
━━ウエルシアグループでは、リプレイス後にどのような成果が得られているのでしょうか?
藤村:リニューアル後、8ヵ月間で100万ダウンロードを達成しました。2024年5月末時点で累計約650万ダウンロードとなっています。MAUも、リニューアル前と比較して192%まで大きく伸びました。
定性的な部分としては、2つの共通ポイントのバーコードを1画面でまとめられる点はお客様から非常に喜ばれています。ステークホルダーに求められる要件からすると本来実現するのは大変難しい機能ですが、DearOneさんの対応力のおかげで実現できましたね。
藤村:また、その延長線上ですが、お客様の声からシニアの方向けのサービスが生まれました。アプリをダウンロードした時に回答いただくアンケート情報から「シニアパスポート」が出てくるような機能を実装しました。元々は紙のカードを店舗で作っていただき、レジでご提示いただく必要がありましたが、今回デジタル化できたことで非常に喜んでいただいており、スマホ1台で全部済んだ、とお褒めの声をいただくことも多いです。
清田:まだ課題はありますが、UIUXの改善を状況に合わせてスピード感をもって行える状況になったことはやはり大きな利点です。お客様に自信をもってお勧めできる機能になれば、ダウンロードを促すキャンペーンも行いやすい。今後の継続的な改善によって、1,000万ダウンロードも目指せると考えています。
リテールメディアの実装では「お客様に必要ないものが出ないか」を懸念
━━今回のアプリ開発の過程で、リテールメディアの実装にも取り組まれたと伺いました。貴社がシステム検討に際し、求めた要件はどのようなものでしたか?
清田:アプリの中にバナーやクーポン、キャンペーンなど様々な機能があります。これまでもその枠をメーカー企業様に販売していましたが、リニューアル後はそれがO2Oで出せる仕組みを標準で実装できたので、非常にありがたかったです。
たとえばチラシだと数十品目を載せていますが、その中で一人ひとりが欲しいなと思うのは2~3品だと思います。それならチラシも、その人がその時に必要なものが出てくるようになったら良いよねという考え方です。必要なものがファーストビューで見られるものができるといいなと思い、DearOneさんに様々なご相談をしています。
リテールメディアへの懸念点は、お客様に必要のないものが次々に出てきて、本来の体験が損なわれてしまうことでした。DearOneさんのシステムであればそうしたことはなく、広告の出し分けができると聞いたので、実験的に配信を行ってみました。3件ほど検証したところ、想定以上に成果があったので、本格的にスタートしようと決めました。
━━DearOneの塚田様に伺います。今回ウエルシアグループアプリに実装されたDearOneのリテールメディアプラットフォームについて概要をお教えください。
塚田:リテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」は、リテールの公式アプリをアドネットワーク化し、同じ広告を媒体横断で配信できるリテールメディア事業支援のプロダクトです。リテールメディアのバリエーションの中でARUTANAはオウンドアプリに特化したリテールメディアのサービスで、オウンドアプリを横断して広告配信ができるプラットフォームなんです。
塚田:広告を掲載するか否かはリテール企業様が選択でき、掲載をいただいたら表示された分を成功報酬型で広告収益を得ていただける仕組みになっております。基本的にメーカー企業様の出稿なので、広告を出す際には対象商品があり、インセンティブ付きのキャンペーンだったりします。そのため、実際にアプリを使うユーザーから見ると、「広告」というよりは、「コンテンツ」と認識されることも多くなります。かつ、現在76.79%ほどはセグメント配信となっているため、ユーザー最適も図れます。
清田:広告のせいでアプリが魅力的ではなくなってしまうと元も子もありません。アプリの魅力を担保しながら広告収益も得られるスキームを作っていただいている。これはどちらの企業様にとっても良いものではないかと思います。
塚田:また、ARUTANAはアドネットワークであることから個社よりもリーチ力が高まるため、メーカー企業様が持つ販売促進費ではなく、従来はテレビCMに使われてきたような広告宣伝費の充当も期待できます。そのため、リテール事業者様が自社のリテールメディア運用と「ARUTANA」の二刀流で運用できることも強みの一つです。