10代にアプローチするためのテレビの可能性
――広告主の視点では、テレビやTVerというメディアをどう活用すれば、うまく10代にアプローチできるでしょうか。
薄井:当社の例で言うと、TVerと地上波両方に広告を打つことで効果が高くなるデータがあります。TVerはテレビ局をまたいで出稿できる上、1歳単位でターゲティングできることが強みになっています。

野田:10代、20代がTVerを「集中して視聴する」傾向にあることが調査でわかっています。スマホ内での目線の奪い合いが激しい中で、集中して目を向けてもらえるのは強みですよね。集中して視聴しているので、いい広告ならたとえ長尺でもちゃんと見てもらえる。逆に嫌だと思った広告はすぐ不快感につながってしまうので、注意が必要です。

薄井:TVerの事例では、配信が終わった直後に長尺のCMを流すこともあります。
野田:10代をはじめ若い世代は不快に感じた広告はスキップして意思表示する一方で、自分にとって良い情報だったら前向きに捉えてくれます。検索ではたどり着けない情報として、有用性を評価してくれるんです。なので、広告が視聴者のエモーションに合わせられると、広告を見る時間も気持ちいいものになって、広告効果にもつながるのではないかと思います。
薄井:TVerは興味関心のデータを取得しているので、たとえば、美容に興味がある方に美容系の広告を出すといったアプローチが可能です。さらに進んで、視聴者の感情に合わせたコンテンツや広告の出しわけをできるとおもしろそうですね。
ただ難しいのは、先ほども出たように10代がコンテンツを見るときは効率重視の一方で、新しい出会いも期待している点。両方にアプローチできている事例があったら、私も知りたいですね。
野田:自分の興味だけに没頭していても、どこかで飽きたり、もっとおもしろいものはないかと探したりするモードが訪れるんですよね。そのモードの時に、SNSのタイムラインなどに興味深い情報が流れ込んでくると接点を持てるのだと思います。猫ミームなどがいい例ですね。
テレビで言えば、切り抜き動画を公式が作る例も出てきていますよね。思わずシェアしたくなってしまうサイズ感が大事だと思います。10代がちょっと面白がれるような、小さなコンテンツを活用できるといいかもしれないですね。