SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティングの近未来

NHK受信料廃止を実現する、「データ配当金」と「デジタル公共事業」

1st Party Dataの質と量(Amazon/携帯キャリア/Microsoft)

 つぎに、1st Party Dataのポジショニングを確認したい。先日の記事で書いたが、日本人の「統合パーソナル情報」を構築する。これが実現すると、広告のコストパフォーマンスがとても高くなる。「統合パーソナル情報」のIDは、質と量がとても優れたものになるからだ。

図表2:1st Party Dataの質と量(タップで画像拡大)
図表2:1st Party Dataの質と量(タップで画像拡大)

 図表2は、タテ軸に1st Party Dataの「Volume」、ヨコ軸に1st Party Dataの「Data Quality」を置く。たとえば、広告事業を開始した銀行(みずほ銀行や住信SBIネット銀行など)の広告ビジネスでは、銀行口座開設時に免許証など公的な書類で本人確認している。

 これに対して、Google検索エンジンを使うために本人確認は不要なため、便利である反面、Googleは「誰が自社の検索エンジンを使っているのか」明確にはわかっていない。これは、銀行の保持するデータに比較すると、圧倒的に質が悪い。ボリュームについては、みずほ銀行や住信SBIネット銀行の1st Party Dataの量は1,000万〜2,500万IDと少ない部類に入る。

参考記事

2024年1月25日付日経記事「みずほ銀行が広告ビジネス、サイバーエージェントと提携」

2024年5月9日付日経記事「住信SBI銀、広告配信基盤サービス開始 顧客データ活用」

Amazon

 「日本のEC利用動向とAmazon・楽天の概要」によると、「楽天市場(5,104万人)、Amazon(4,729万人)、Yahoo!ショッピング(2,288万人)」とのこと。図表2右上のAmazonに限らず、楽天も同様だが、通常は、クレジットカード情報を登録してオンラインショッピングをする。そのため、本人確認済みのクレジットカード情報があるので、かなり質の高い1st Party Dataを保持している。

携帯キャリア

 また、携帯キャリアなども、このような質の高い1st Party Dataが大量にあるため、今後は、カスタマーマッチの手法を応用して、ターゲティング精度を高く維持し、広告主のコストパフォーマンスも高くすることができる。

Microsoft

 Microsoftの場合、公式発表の直近の数字はないようだが、「2021年4月には日本での「Microsoft Teams」利用者数は、1億1,500万人にのぼり、日経225の94%にあたる企業が利用しており、コロナ以前と比較すると約1年で利用者は4.5倍に急増」(引用:「コロナ禍で導入企業急増中!Microsoft Teamsのメリットとデメリットとは?」https://menter.jp/blog/teams1)とある。この「1億1,500万人」は当然、法人アカウントと個人アカウントを含むはずなので、延べ契約数だ。少し古い情報だが、「法人は含みませんが、家庭用Officeのサブスクは開始3年で1,000万ユーザーを超え、2020年6月時点で4,000万ユーザーを超えています」となっている(引用:「Microsoft Office 365 Consumer 会員数の推移」)。

 実際にMicrosoft広告の管理画面を使っている運用者の情報であるが、「カスタマーマッチ」の設定をする画面でターゲティングできるユニークユーザー数が表示されており、現在は5,400万人程度とのことだ。あくまでも、Microsoft広告の配信できるユニークユーザー数であって、マイクロソフトアカウント数とはイコールではない。実際のマイクロソフトアカウント数はもっと多いということになる。

 Microsoftは、SaaSモデルとして「Microsoft 365(Office関連ソフト)」などを提供するため、マイクロソフトアカウントには、ほぼすべての人がクレジットカード情報を登録している。したがって、1st Party Dataの質と量を比較すると、上記の楽天やAmazonに匹敵する、あるいは、凌駕するアカウントを持つ。質と量の観点から、AmazonとMicrosoftは、MetaやGoogleよりも優れている。

次のページ
1st Party Dataの質と量(Meta/Google)

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
マーケティングの近未来連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/07/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46044

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング