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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

社会価値創造×事業成長の両輪を目指して

アクセンチュアが小学校を?世の中の当たり前を問う「さやか星小学校」プロジェクト

アクセンチュアが辿ったプロジェクトの軌跡

MarkeZine編集部:ここからは具体的な取り組みについてうかがっていきます。アクセンチュアは「さやか星小学校」の開校に向けて、具体的にどのようなことを行ったのでしょうか。

山田:アクセンチュアは、コンサルティング企業として、顧客の全社的な変革を支援しています。今回のプロジェクトでも、事業計画書を作成したり、廃校の調達をしたり。長野県知事や市長に事業を展開する意義を説明したほか、必要な認可を取得するための事業計画策定のご支援も進めました。

 また、資金調達に関しては、クラウドファンディングの実施に加え、協賛企業の開拓も行いました。児童募集のためのマーケティング活動も実施しましたし、カリキュラムの策定では、先述のテクノロジーを活用した評価システムなどの要件を決定しました。

 こうして当社メンバーを含め、多くの方々に協力いただきながら体制を整え、2024年4月に「さやか星小学校」を開校することができました。プロジェクトがスタートしてから3年ほどになります。

「世の中に一石を投じる」クリエイティブの力

MarkeZine編集部:普段、Droga5でコピーライターとして活躍されている春日井さんは、今回のプロジェクトでクリエイティブの全体監修を担われたとうかがっています。クリエイティブはどのように作っていったのでしょうか。

春日井:奥田先生から今回の話を伺った時、私自身、大きな驚きを覚えました。現在の教育が、必ずしも子どもたちにとってベストな仕組みになっていないことに気づいたからです。従来の教育観念、たとえば「みんなが同じ基準に従わなければならない」「勉強もスポーツもできて、みんなから人気がある子が優等生」といった固定概念が、本当に子どものためになっているのか疑問を感じるようになりました。

Droga5 Tokyo SENIOR COPYWRITER / BRAND PRODUCER 春日井 智子氏
アクセンチュア ソング Droga5 Tokyo シニアコピーライター/ブランドプロデューサー 春日井 智子氏

 そこで、学校のコンセプトを「教育のあたりまえを変えていく。」と定め、これを理念として掲げることに。このコンセプトに基づき「マルチものさし教育」という言葉を作りました。これは、子どもたちを一つの基準だけで評価するのではなく、多様な基準で見ながら、それぞれの良いところを伸ばしていくという考え方です。

校舎は2023年に廃校となった学校を活用。子供たちが個性豊かに自由に伸びていくイメージで、ロゴや校舎設計がデザインされている
校舎は2023年に廃校となった学校を活用。子供たちが個性豊かに自由に伸びていくイメージで、ロゴや校舎設計がデザインされている

 この「マルチものさし教育」の概念は、学校のロゴデザインや校舎内の看板など、あらゆる面に反映させています。「さやか星小学校」を一つのブランドとして捉え、一貫性のある統一されたブランディングを目指す形です。

MarkeZine編集部:2024年6月には、交通広告も掲出されました。

春日井:はい、長野県・軽井沢駅と東京・霞ケ関駅に初めて広告を出しました。特に中央官庁の集まる霞ケ関駅を選んだ理由は、現在の「教育のあたりまえ」に対して一石を投じるためです。「マルチものさし」の考え方が、日本の教育の新たな選択肢として広がっていくことを願っています。

北陸新幹線 軽井沢駅と東京メトロ 千代田線 霞ヶ関駅に掲出された交通広告
北陸新幹線 軽井沢駅と東京メトロ 千代田線 霞ケ関駅に掲出された交通広告
北陸新幹線 軽井沢駅と東京メトロ 千代田線 霞ヶ関駅に掲出された交通広告
北陸新幹線 軽井沢駅と東京メトロ 千代田線 霞ケ関駅に掲出された交通広告

山田:さやか星小学校の情報発信では、マスに広く知らせることよりも、課題の本質を理解し、強く共感してくださる人を見つけることに重点を置いています。

 現状では、この教育の課題に気づいている人は少数かもしれません。だからこそ、クリエイティブの力が必要です。私たち事業側の人間は、社会課題として広く認識されていることであれば、数字や情報も豊富にあるので、ロジカルに説明しながら人々を巻き込んでいくことができます。しかし今回のように課題が顕在化しておらず、まずは社会に問いを投げかけることから始める必要がある際は、クリエイティブの力が絶対に必要だと思います。

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自分が編み出した言葉が組織の理念に。プロジェクトを通しての学び

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/08/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/46075

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